追憶 ページ13
自分の部屋に戻ったルハンは椅子に腰かけ、深く息を吐いた。
ズルズルと体を沈め、両手で顔を覆う。
降りになった雨が窓を激しく叩いている。
それが、あの日たたかれたドアの音と重なっていく。
「クソっ。」
ルハンは苛立つ感情にまかせテーブルをけり上げた。
大きな音を立ててテーブルは倒れ、上に置いてあったグラスやボトルビンは割れて絨毯の上に散らばった。
ルハンはその破片を見つめていたが、その目はここではないどこかを見ているようで部屋の中は生の気配をさらに薄めてく。
忘れるにはあまりにも短い時間。けれど、膨大な記憶に埋もれさせて、奥底にしまっていたもの。
忘れたいと思っていたものだ。
始まりは、人間にとっては遥か昔。
ルハンがまだ若く、傲慢だったころ。
自分達にとって、人間は単なる餌でしかなく、日々恐怖を与えることを娯楽としていた。
そんな中で１人の男と出会い、なぜか一緒に暮らすようになり、同情心と孤独から血を分けた。
彼は手に入れた自由とあやしい力に満足気だった。しかし、年月が経つにつれ彼の表情には陰りが見え始め、ルハンに虚しさを訴えるようになった。
そして、とうとう６年前のあの日、ルハンは再び彼の願いを聞きいれた。
「すまない。」
彼は、そう言ってナイフをルハンに手渡し、目を閉じた。
勝手な奴だ。やっぱりこいつもただの人でしかなかった。
つまらないな。
悲しみは少しも感じなかった。
ルハンは深い記憶の底から起き上がるように、垂れてた頭をあげ背もたれに預けた。
深く息を吐くが、気だるいような陰鬱とした気持はおさまらない。
「あいつのことを覚えてる奴がいたんだな。」
そう言って、ルハンは静かに目を閉じた。
雨はまだ止みそうもない。
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yori(プロフ) - また来ましたっ（´▽｀*）。ずっと探しててwww見つけた時は息が詰まるほど嬉しかったです。もう一回読み直しますっ。更新は無理しない範囲でしてください (2012年12月13日 16時) (
レス) id: 88ffb53b2c (このIDを非表示/違反報告)
tutu(プロフ) - yoriさん» コメありがとうございます。お返事、更新共に遅くなってしまい申しわけありません。なかなか更新ができない状況ですが、気長にお付き合いくださるとうれしいです。がんばります！ (2012年9月4日 22時) (レス) id: a617facaa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tutu | 作成日時：2012年7月1日 23時
