警戒 ページ11
「えー。俺のせいですか？
俺はただストーカーからあの女性を守っただけですよ。むしろ褒められるんじゃないんですかね、世間から。」
クリスは男の言葉に眉を寄せる。
それを見た男がまたおどけて言う。
「あれ、違うの？
んー。じゃあ、生き別れの兄妹？あ、警察の尾行とか！」
「あなたには関係ない。」
クリスはそれだけ言うと男から離れようと歩きだしたが、
それをさえぎるように男は肩を組んできた。
「えー、いいじゃん。
お兄さん思いつめた顔してるし、話してみなって。
楽になるかもよ。」
「大きなお世話だ。離せ。」
クリスは腕を振り払い、男はその反動でよろめき下がった。
「あらら、本当に警察官だったの。」
そう言った男の手にはクリスの警察手帳。
クリスは慌てて服の中を探るも入れておいたはずの場所に手帳はない。
「それを返せ。」
警察手帳をスるなんて、どういうつもりだ。
語尾荒く、クリスは男を睨みつけた。
男は肩をすくめるとクリスに手帳を放った。
「ちょっと確認しただけだよ。
でも、このままバイバイってわけにはいかなくなったなぁ。
ほんと理由を聞くまでは、さ。」
それまでのヘラヘラした態度をやめて、クリスに向きなおり男は言った。
なんだ、こいつ。
瞬間クリスは明らかな違和感を感じた。
「お前は何だ。」
「へぇ〜、何って聞くんだ、誰じゃなくて。」
それは無意識に感じ取った異質の感覚。
男の、いや目の前の「何か」の本質。
「それって俺はどう答えればいいわけ。
名乗ればいいの？
それとも、実は・・って」
「！！」
髪がさらりと揺れて背後の闇に溶けたと思った次の瞬間、眼前には白い手があった。
「なっ！」
咄嗟に後ろへと下がったが、ほんの数秒男に触れられた頭が痛い。
チッ、と男の舌打ちが聞こえた。
すぐ次の動きへ移れるように男から距離をとり、クリスは構えた。
けれど、男は動くことなく睨んでくるばかりだ。
「二度とあの女に近づくな。」
男はそれだけ言うと、背中を向けて行ってしまった。
クリスは男が角を曲がり、姿が見えなくなってようやく息をつく。
大通りからいつものざわめきが聞こえる。それに安心したのか体から力が抜けた。
アスファルトについた手は震えている。
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革ベルト
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yori(プロフ) - また来ましたっ（´▽｀*）。ずっと探しててwww見つけた時は息が詰まるほど嬉しかったです。もう一回読み直しますっ。更新は無理しない範囲でしてください (2012年12月13日 16時) (
レス) id: 88ffb53b2c (このIDを非表示/違反報告)
tutu(プロフ) - yoriさん» コメありがとうございます。お返事、更新共に遅くなってしまい申しわけありません。なかなか更新ができない状況ですが、気長にお付き合いくださるとうれしいです。がんばります！ (2012年9月4日 22時) (レス) id: a617facaa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tutu | 作成日時：2012年7月1日 23時
