プロローグ ページ1
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『………えっと、?』
…いよいよデビューの話を貰えるんだと、浮き足立ってこの部屋に向かったのに。
私の声は、驚きで喉につっかえたらしかった。
「まあその、いいやり方ではないんだけど…。
今、力や知名度が無いウチの事務所だから、ゴシップではないけど、世に大きく出る材料が欲しくて」
気難しそうなソファーに座り、いかにも困ったように、言いづらそうに話す会社の重鎮の人。
その前に座る私も、きっと困惑したような顔なんだろう。
だってそんなの、前代未聞だ。
「まあ、男子13人の中に1人女子がいれば、実績や事務所の知名度に関わらず注目が集まるだろ?
だからまずそれで、世間の目を集めて、売れる機会を作ろうと思ってるんだよ」
片方だけくいっと引き上げられた眉。“分かるよね?”という圧力をかけてきてるのを感じる。
……大人って、芸能界って、社会って、こういうことなんだなあ。なんて、私はどこか呑気に考えていた。
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「………今回、そのポジションに、Aを入れる予定なんだけど、いい?」
………あぁ。
この人、私に拒否権がないという事実を突き着けるような物言いをするなあ。この人もだけど、そう言いたいのは会社なのかな。
でもそっか、ウチみたいな会社じゃあ、充分なプロモーションも出来ないし。注目を集めるためにそんな案が出ても納得がいくんだ。
………短い期間でも、終わりが目前であっても、私も誰かのために、頑張れるかな。
「A?紅一点、やる?」
『……あ、はい』
そんな、どこか気の抜けた誘いの言葉に、私は流されるまま承諾をした。
思い描いたデビューと全然違うなんて、家に帰ってから気づいた。
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レプリカ - りんさん» ほんっとに返信が遅れてしまいましたすみません…笑!!ニヤニヤしながら応援してくださるんですね、じゃあ私はニタニタしながらお返事を書かせて頂くことにします(?) (2022年12月17日 15時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
レプリカ - なのこ5546さん» 時間に余裕がなく、お返事遅れてしまって申し訳ありません!本作品を楽しんで頂きありがとうございます!!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いしますね!!笑 (2022年12月17日 15時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 主人公ちゃんが可愛すぎてぷくぷくではないですがニヤニヤしながら応援しちゃいます笑笑これからも主人公ちゃんもレプリカさんも応援してます。無理をなさらずお身体にお気をつけください。 (2022年12月12日 12時) (レス) @page30 id: 0c8a3b5b52 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - こんばんは!なかなか無い設定なのでとても面白かったです!主人公ちゃんが少しづつメンバー達と距離を詰めていく感じが堪らないですっ!!これからも更新楽しみにしています頑張って下さい! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レプリカ | 作成日時:2022年12月3日 0時