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「ごめんごめん！待った？」
申し訳なさそうなものの、笑顔でやってきた健人くんが空いている席についたのは、注文から10分以上経った頃だった。
「遅いよ、けんとくん！」
「わりーわりー。あ？注文終わってる？」
僕たちのテーブルの上には、粗方料理が並んでいて。
あと来ていないのは、僕と聡のだけで、健人くんの座った前にはすでに握り寿司が置かれていた。
きょとんとした健人くんに風磨くんは素知らぬ顔で醤油を小皿に垂らしていて、何故か僕の方が気に入らなかったんじゃないかとドキドキしてしまう。
「あの、健人くん…」
「やべー！寿司！え？なにこれオレの？えっ？これオレが食っていいの？まじで？やべー寿司だよ、ス・シ！」
健人くんはきょろきょろしながらも、遅れて運ばれてきた料理が僕と聡の前に置かれ、揃ったのを見ると、自分のものだと悟ったらしい。
テンション高くいぇーい！と叫ぶと、おしぼりに手を伸ばした。
気に入らなかったんじゃ、なんてどうやら杞憂だったようだ。
風磨くんが使い終わった醤油をやや健人くん寄りに置く。
手を拭き終わった健人くんがすぐにその醤油を手に取った。
「この店さ、暖簾に鮨の文字入ってたじゃん？あれ見て絶対寿司にしようって思ってたんだよねー。まじナイスだわー！」
「みんな揃ったら食べていいからね」と言われていたので、５人揃い、料理も揃ったところで「食おうぜ食おうぜ」と健人くんが嬉しそうに話す。
それをやっぱり風磨くんは済ました顔で聞いていて。
さすがというか、なんというか…
息の合いっぷりが恐ろしい。
マリがにこにこしながら奥から声を張り上げる。
「じゃあ、みんなでいただきますしよー！」
「いただいてまーす」
「あ！ふーまくんだめ！」
「だめじゃねーわ」
「オレもいただきまーす！」
「いただきます！」
「けんとくんもそうちゃんも！もぉーなんで！一緒にしよーって思ったのに！」
「ぅんまー！」
ぷりぷり怒るマリに、ガツガツ食べ始めるメンバー。
見慣れたやりとりに遅れながら小さく手を合わせていただきます、と呟くとまずは味噌汁を手に取った。
…ちなみに、目の前の二人は揃って最初に中トロを食べたんだから、シンメって不思議で恐ろしいし、本当にありえないよね。
＊ END ＊
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水城（ミズシロ）(プロフ) - あふいさん» コメントありがとうございます。最近更新できていませんが、続きができたときはよろしくお願いします。 (2021年10月18日 19時) (
レス) id: 5d8211fb4f (このIDを非表示/違反報告)
あふい - 面白いです❗ (2021年10月18日 16時) (レス) @page14 id: 3848730b13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水城（ミズシロ） | 作成日時：2021年3月7日 23時
