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「ねぇ、もう頼んじゃおうよー」
「健人くんがまだじゃん」
「えーでもボクお腹すいちゃった！みんなもすいてるでしょ？」
確かに、お腹は空いてるけど…
それをはっきり言えるのがマリのすごいところであり、驚くところだ。
案の定、聡は困ったように「もうちょっと待とうよ」と宥めている。
「でも、ボクたちが決めないと、スタッフさんたちも頼めないでしょ？」
…それは、確かに。
表に立つ人と裏で支える人に優劣はないけれど、言ってしまえばこの場の主役は僕たちだ。
僕たちを差し置いて注文し、食べ始めることなんてできないだろうことはわかりきっていた。
決めるのは早い方がいいはずではある。
「じゃあボク、けんとくんのとこに行ってくる！そこで決めてもらったらいいでしょ？」
いやでも、健人くんは一応は仕事中なわけで…
メニュー持って割り込んでくるって発想がすごい。
「もうお腹ぺこぺこ！」といまにも立ち上がって部屋を出ていきそうなマリに、風磨くんはペラ、とメニューを開いた。
「勝利、決まる？」
「え、あ、僕は…でも…」
「勝利が決まるなら、注文しよ。マリウスは行かなくていいよ」
穏やかに話す風磨くんに、オレと聡は困惑する。
いくらなんでも、健人くん抜きで注文しちゃうのは…と戸惑っていると、ここでもズバッとマリが聞いてくれる。
空気は読めないと言ったけれど、こういうときはマリの存在が急にありがたくなる。
「けんとくんはどうするの？」
「一緒に注文するよ」
「けんとくん、選んでないよ？」
「あいつの分は握り寿司にする」
「ふーまくんと同じ？」
「ん。あいつも暖簾めっちゃ見てたし、寿司は好きだからたぶん大丈夫」
健人くんも暖簾に気づいてたのか…
それに気づいてた風磨くんにも驚きだけど。
シンメって本当に他の人が気づかないところにお互いが気づいているから不思議だ。
「そっか！じゃー頼んじゃおう！すみませーん！決まりましたー！」
「えっ！」
やばい、僕が決まってない…！
僕たちが話し出して離れていたスタッフがマリの呼びかけにやってくる。
慌てて捲ったメニューで、結局僕は焼き魚の定食を選んだのだった。
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水城（ミズシロ）(プロフ) - あふいさん» コメントありがとうございます。最近更新できていませんが、続きができたときはよろしくお願いします。 (2021年10月18日 19時) (
レス) id: 5d8211fb4f (このIDを非表示/違反報告)
あふい - 面白いです❗ (2021年10月18日 16時) (レス) @page14 id: 3848730b13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水城（ミズシロ） | 作成日時：2021年3月7日 23時
