むかしのおはなし３

時間を　ＦＫ ページ10

ちょっとでいいから、わけてほしいんだ。







＊ 時間を ＊







「おはよー！！」
「しーーーっ！！」

ばーん、とドアを開け、勢いよく楽屋入りしたオレに、途端集中する非難の眼差し。
もうだいたい来ていたみたいで、５人がオレに向かって口元に人差し指を当てたお決まりの「静かに」のポーズをしてくれた。

「な、なんだよっ……！？」
「静かに！！」
「ばかっ、おまえも！」
「あっ！！」
「ふたりとも、しーっ！！」

……何事？

一体全体、どうしたっていうんだ？

ひたすら頭の中で？マーク浮かべながら、オレは５人に近づいていく。
と。

「あ……」
「可愛いっしょ？」

……うん。
ってか、可愛すぎ！！

「なんかさ、いちばんに来たらしいんだけど、ずっと寝てるんだよねー」

そう。
そこにいたのは、器用にも椅子の上で小さく丸くなって眠る北山の姿。
寝顔、かーわいー……

「藤ヶ谷、カオ崩れてる」
「えっ！？」
「いまのはヤバかったですよ！」
「えぇ！？」
「あれは見せられないな……」
「うん」
「うんうん」

次々に貶されて、オレはがっくり。
なのに、ふと、視界に入った北山は、これ以上ないくらい可愛くって。
今度こそ、顔がにやぁ〜ってなってしまうのが自分でわかった。

「…………」
「…………」

ハッ、と我に返ったときはすでに遅し。
みんなの視線が痛い……！

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