次男からのお願い ページ2
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莉「なーくんが蒸発した」
「蒸発」
クラス替えから1か月ほどたったある日
学校が終わり、隣の家の次男莉犬に『話したいことがあるからうちに来て。』と呼び出されたかと思えば、突然真剣な顔でこう告げられた。
蒸発って何だ。
「え、なんで蒸発?なーくんどうしたの?」
莉「いや、それはまぁちょっと…色々、ね……」
理由を尋ねるとそこはなんかいい具合に濁された。
リビングに集まる他の兄弟、さとみ、ころん、ジェル、るぅとに目配せをしてもことごとく視線を逸らされる。
どうやら、何故こうなったかについてはあまり話したくないらしい。
気にはなるが、話したくないことを無理に聞こうとは思わない。
本人たちが話してくれるまでは、この件については取り敢えず触れないでおくことにして。
「蒸発ってことはなーくん今どこにいるかわからないの?」
さ「いや、場所はわかるし連絡は取れてる」
三男のさとみが後ろから私のお腹に腕を回した状態で答える。背後からぴったりと密着され、なんか背中がソワソワする。というかこいつ距離近くないか?離れろよ。
莉「実はなーくん、今無期限のマグロ漁に行ってるんよ」
「無期限のマグロ漁」
ちょっと待て。蒸発、の次にまたよく分からない単語出てきた。無期限のマグロ漁て何だ。
マグロ漁ってあの、漁の中でも過酷と言われるあれ?
わからない。わからないんだけど。全く、意味が。
しかし、次男の赤がそう言った瞬間、まわりからすすり泣く声が聞こえた。
ーー泣いている。久しぶりに会った幼なじみの兄弟たちが。
静かに泣く者、感情が抑えきれず声を上げて泣く者を目の前にして
気まずくてどうしたらいいのか分からない。
マジでどうしたお前ら。何があった。
莉「それでさ、今うち家族が1人減って色々と大変なんよ」
「はぁ」
莉「特に食事。ほら、俺たち料理なんてほとんどしないからご飯食べるってなるとほとんど外食になっちゃって」
莉「だけどそれだと家計的にも、育ち盛りの弟たちの健康的にもどうかと思うからなんとかしたいんだよね」
「ほう……」
莉「だからAちゃん、なーくんが帰ってくるまでのあいだ、弟たちのご飯作ってくれない?」
「お願い!」と莉犬が顔の前で可愛く手を合わせる。
これは、困ったことになったものだ。
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花音(プロフ) - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;`Д´)これからも応援してます(^○^) (2022年5月20日 4時) (レス) @page3 id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒアヤ - アッ新作も大好きです(( (2022年5月19日 14時) (レス) @page3 id: 21aa03ab93 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!これからも頑張って下さい (2022年5月15日 20時) (レス) @page1 id: 8ede1881f8 (このIDを非表示/違反報告)
海月 - イラスト集から来ましたw 大爆笑しましたww 更新頑張って下さい‼︎ 挙式挙げられるところ探しておきます(( (2022年5月13日 23時) (レス) @page3 id: e9b6f3aa76 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 新婚旅行の費用と、入籍の手続きと、バージンロード歩く心構えしときます(( 1話から笑いました(*´Д`)ハァハァ (2022年5月12日 21時) (レス) @page3 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝉-セミ- | 作成日時:2022年5月11日 18時