百二十九振り ページ9
「それより、どうして急に抱き着いてきたの？」
問い掛けると、今剣はふんすっと鼻を鳴らした。
「あるじさまがかっせんばにいかれるときは、ぼくがついていきます！……ということをつたえたかったんです…！」
手を頬に持っていき、「いきおいあまって、あるじさまはこけかけてしまいましたが」と照れ臭そうにした。
「そう…ありがとう、今剣！」
「そうおもってくださるなら、ぼくをぎゅっとしてください！」
「えっ…」
思わずたじろぐと、途端にしゅんとし、今剣は俯いてしまった。
「あるじさまをとめられなかったぼくは、じぶんをせめました。…とても、しんぱいしたんですよ？」
「あぁ、そうだな。今剣」
鶴丸は頷き、私を見つめた。
「誰よりもきみを心配していた。……泣いていたんだ。…抱き締めてやっても、良いんじゃないか？」
微笑んで。
今剣の目の周りは、確かに少し赤らんでいた。
心配して、泣いてくれた。私の為に。
「…ご、ごめんねぇ……今剣ぃ……」
そう思うと涙がまた溢れてきて、今剣を抱き締めながら喘いだ。
離れて私達を見つめていた刀剣男士達が、わらわらと寄ってくる。
そして、私の背を摩ったり、声を掛けたり、今剣の様に『抱き締めてほしい』と言ってきたりした。
勿論、説教もされた。歌仙だったり、蜂須賀だったりに。
『無茶な事はするな』、『何かあったら己だけで解決しようとするな』、『
「行かないと誓えないのは別に良い。君の性格は分かっている。その代わり、君が言った様に誰かを一緒に連れていってくれ。皆、此処に居る仲間を信頼しているから。君が傷付く事なんて無いと、安心して自分の役割を全う出来るから」
歌仙はそう言って、私の頬を撫でた。
「無事に帰ってきてくれて、ありがとう」
その言葉でまた、私は泣き出してしまった。
こんな自分に、こんなに嬉しい言葉を掛けてくれる人が身近に居てくれていたんだ。
勝手に出て行って、嫌われてしまったとさえ思った。
それでも、皆は私に優しくて、帰ってきたら『ありがとう』と口にしてくれて、心配したと、そう、言ってくれた。
確かに、自分の居場所は此処にある。
自己肯定力の低い私が、そんな事を自信を持って思える場所にこの本丸がなるなんて、一体誰が予想できただろう。
この日一日、私は泣き続けた。
涙というものは嬉しい時にも流れるんだと改めて知り、一つ成長した様に思えた。
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
