百二十七振り ページ7
「……」
鶴丸は何も言わない。
静かに、私を見下げている。
落ち着け。
深呼吸をした。
震えが微かに治まる。
私は、謝らなければならない。
鶴丸に対して。皆に対して。
怒られるのは必然。それを恐れた所でいずれ怒られる。
相手に何かを言われる前に、謝るべきなんだ。
悪いのは、間違いなく私なんだから。
「ハァー……」
息を最後まで吐き出した。
それから＿＿額を、床に落とした。ガンッという鈍い音がしたが、それよりも砂の感触が気になった。
「ごめんなさい」
謝る。
「ごめんなさい、鶴丸。忠告をしてくれたのに怒鳴りつけて。貴方の手を振りほどいて合戦場に行って」
鶴丸は何も言わない。
「ごめんなさい、皆。皆が此処に居るという事は、きっと、私を……」
違ったら、どうしようか。
自惚れていると思われるだろう。
だが、そう思う程に。そう思える程に、私は、皆に良く接してもらっている。言葉にしてもらっている。
「……心配したからなんだと、思う。勝手に出ていってごめんなさい。心配を掛けてごめんなさい」
一度顔を上げる。
困惑の色を浮かべているものが、何人か居た。
「……どんな処罰も受けるつもりでいます」
再度頭を下げて、
「本当に………すみませんでした」
謝罪の言葉を、口にした。
重々しい沈黙が訪れる。
身体がまた震えだした。床に接した額と擦れた砂で、ジャリジャリと微かな音がする。
怖い。
何を言われるのだろう。
怖い。
失望されたのだろう。
怖い。
嫌われたのだろう。
怖い。
呆れられたのだろう。
怖い。
私から皆が離れていったら。
怖い。
怖い。
怖い。
せめて、せめて何か言って。お願い。誰か。
場の雰囲気に押し潰され、視界がぼやけ始めた時、
「主、顔を上げろ」
鶴丸から声が掛かった。
慌てて顔を上げる。
涙が零れかけたが、死守した。
鶴丸が私の元へ歩いてくる。
何を言われるのだろう。
あぁ。
私の目の前で背を屈めると、鶴丸はじっと私を見つめた。
泣きそうだ。泣きそうだ。
必死に零れかける涙を、唇を噛んで我慢する。
「主……」
あぁ、遂にか。
もう何を言われてもしょうがないと諦めた。
しかし、鶴丸は途端に顔を綻ばせる。
なんて場違いな、と思うと同時に、鶴丸は私の頭を撫で始めた。
「きみは随分我慢強いじゃないか」
そう言って、鶴丸は歯を見せて笑ったのだ。
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
