百五十六振り ページ38
「私が居ない間は暇だった？」
笑って言うと、「あぁ！」と愛染は屈託無く返してくる。
「明日からきちんと審神者業を再開するから、それまで待ってて」
「分かった！…と今剣、そろそろ主さんから退いてやれよ？」
「……いやですよ」
「はいはい、嫌だろうけど退けよ」
愛染が今剣の首根っこを掴んで私から引き剥がす。
「あぁ〜、あるじさまぁ〜！！」
「今生の別れじゃねぇから離れろよ！」
微笑ましくて、思わず笑みが溢れた。
あぁ、帰ってきたんだな。私の本丸に。
「主さん、立てるか？大丈夫か？」
今剣に説教をする愛染の代わりに、太鼓鐘が私に手を差し伸べてくれる。
──まだ、少し、躊躇ってしまうけれど。
その手を取り、立ち上がらせてもらう。
「ありがとう、太鼓鐘」
「これくらい、感謝される程じゃ……」
太鼓鐘が言葉を詰まらせる。
不思議に思っていると、太鼓鐘はずいっと顔を近付けてきた。
余りの近さに反射的に後ろに下がる。
「っと！悪い、驚かせるつもりは無かったんだぜ！ただ……」
私の髪に触れると、太鼓鐘は相好を崩した。
「その髪、似合ってるぜ！主さん！」
「うん！凄く似合ってるよ！！主さん！」
太鼓鐘を押し退ける様に乱が目の前に来る。
「風に靡く長い髪も素敵で良かったけど、今の短い濡羽色の髪も凄く似合ってる！！」
「あ、ありがとう…乱…太鼓鐘も…」
二人は顔を見合わせると、『どういたしまして！』と笑った。
「どうして御髪を切られたのですか？主様」
平野の問いに、一瞬言葉が詰まる。
「…けじめをつける為だよ。もう二度と、自分勝手な行動をして、皆を傷付ける事が無いように。髪だったら中々伸びないから、ずっと胸に刻んでいられるかなって」
「……良い決断ですね、主様」
「皆が誇れる審神者で居たいからね。もう二度と、あんな過ちは繰り返さないよ」
平野は微笑むだけだ。
「ねぇ、山姥切」
そそくさと部屋から出ていこうとする人影を呼び止める。
「傍で見ててね」
「……」
此方を振り返った山姥切は、
「任せておけ」
早口にそう言って、やはり部屋から出ていってしまった。
「…行っちゃった」
「照れ隠しだよ、主さん！それよりそれより！！今日は主さん退院おめでとう！の宴をするんだよ！！」
「宴？！」
「腕に寄りを掛けて皆でご飯を作るから、完成するまで主さんは自室に居ててね！」
「手伝……」
「っちゃ駄目！ほらほら、行った行った！！」
乱に背中を押されて──大広間から出された。
え、えぇ。
困惑が隠せない。
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
