百三十四振り ページ14
「山姥切……」
壁にもたれて、名を呼んだ。
「山姥切……早…く…起きてよ…………」
山姥切が寝ている様を見る度に、自己嫌悪に襲われる。あんな行動をした事を、死んで詫びたくなる。
だからこれは、エゴだ。
この言葉は、山姥切が目を覚まさない為に自分が傷付く事を拒否しているだけだ。
山姥切が心配だからとか、どうだとか、関係無い。
世辞さえ言えない程に、心は壊れる寸前だ。
「……寝よう。寝て……頭を、冷やそう。私は今、『普通』じゃない、から………このまま外に出ても、きっと、皆に避けられるだけ、だから…」
目を閉じる。
音が聞こえ始めた。
あぁ、水を撒く音だ。誰かが遊んでいる音だ。楽しんでいる音だ。
「………」
落ち着いたら、私が『普通』になったら、加えてもらおう。
本丸の音を聞いているうちに、私は眠りについた。
〜
「……っ？！！」
脇腹に鋭い痛みが走り、目が覚めた。
「っ…な、何？！！…………な、に…？」
目の前に広がる光景に、我が目を疑った。
夜の、京都の市中に似ている場所。
道の真ん中に、私は居た。
「……此処…は……」
段々意識が覚めていくと同時に、この場所の異常さに気が付いた。この場所は＿＿いや、この空間自体が、不思議な気に包まれていた。
そしてこの気は、
「……山姥切の、気…」
もしかして、もしかしなくても。
「この場所は山姥切の…夢か、神域……？」
こんのすけから聞いていたある話が脳裏に過ぎった。
審神者の霊力からなる刀剣男士に、審神者が同調する、という話だ。
つまり、此処は夢だ。
山姥切の。
あぁ、だから、『脇腹に鋭い痛み』。
＿＿山姥切は、まだ痛みを感じているんだ。
「……ごめんね」
すくと立ち上がる。
脇腹の痛みはずくずく、ずくずくと脈打つ様に存在している。
山姥切の痛みは＿＿こんなものじゃなかっただろう。
「………ぃ…」
「…今、声が……」
耳を澄ませる。
それから＿＿再度声を聴くまでもなく、気が付いた。
山姥切だ。
あの、微かに聞こえた声の主は、山姥切に違いない。
だって此処は山姥切の夢の中。
山姥切以外に誰が居るのだろう。
「ぃ…ぁ…」
また、声が聞こえた。
「いた、い」
「！！」
はっきり聞こえた声に慌てて駆け出す。
この夢は悪夢だと、気付いたから。
きっと、山姥切は倒れた時をずっと夢に見ている。
だから、この光景。だから、夜の京都の市中。
時々山姥切は魘されていた。悪夢が原因だったのか。
あぁ、どれもこれも全て、
「私のせいじゃないか……！！」
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
