無意味なｼﾞｮｳｼｷ ページ9
《鬼》の言葉は、真実だろうか。
仮に真実だと肯定しよう。
なら、此処が現実だとして、私は何故、《鬼》を二匹飼っているのだろう。
一瀬グレンの後を追いながら、頭を駆使する。
理由は？
私の他に《鬼》を二匹飼っていたのは、柊真昼のみ。
その柊真昼は、何故、《鬼》を二匹飼う事が出来た。
理由は簡単。
柊真昼が、実験動物であったから。
生まれた時より埋め込まれた《鬼》。
柊シノアの為。
柊真昼が独自に編み出した、《鬼呪》。
それ以外の例は、無い。
｢…！｣
まさかとは思うが、そんな事、あるだろうか。
だが、考えられる理由がそれしかない。
常識的に考えて、有り得ない。
けれど、その理由しか思い付かない。
こんな世界では、常識なんて意味がない。
｢まさか……｣
ポツリと、呟く。
｢私も…実験動物だった……？｣
有り得ない、と首を振る。
私がこちらの世界に来たのは、勿論初めてだ。
先程の仮説だと＿＿私は、元々この世界の住人であったが、何らかの理由によりあちらの世界に移った、となる。
そんな事、有り得るのか。
やはり、有り得ないだろう。
だが、もう、その事位しか頭には浮かばない。
一度浮かんだ考えが、何よりも一番しっくりくる。
仮に、仮にだ。
私がこの世界の住人だったとしよう。
実験動物になっていたのなら、私は、柊家の者となる。
私の歳は、柊シノアと同じ。即ち、柊シノアと同じ時に生み出されたと考えられる。
なら、柊シノアは、私の存在を知っているのでは。
柊深夜は、柊暮人は＿＿柊家の者は、私の存在を知っているのでは。
｢う〜ん……｣
頭を捻る。
自問自答しても、答えは出ない。
頭を巡る、不可解な謎。
迷宮入りも目前だ。
〈Aさん、大丈夫？〉
青炎竜が、私に声を掛ける。
大丈夫な訳が無い。
〈ほら、禍竜。貴方のせいで、Aさんが悩んじゃってるじゃない〉
〈うっせぇ。姉貴は黙ってろ。何も覚えてねぇ主が悪い〉
〈あのね、禍竜。そんな事を言う事が許されるのは、子供の頃だけなのよ〉
〈子供の頃？それじゃあ俺達は、何百年と前の話になるなぁ〉
禍竜が、ハッと乾いた笑いを零す。
姉貴。
禍竜は、青炎竜の事を『姉貴』と呼んだ。
二人は、姉弟だったのか。
［…青炎竜、もう大丈夫です。流石に整理は出来てませんが、もう、どうにでもなれ、ですよ］
〈え、だけど……〉
という青炎竜を無視して、改めて前を向いた。
私のいる場所から、少し先。
地下鉄の駅の中に、白い光が差し込んでいた。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
