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柊暮人は、ベッドの端に腰を下ろすと、何処か遠くを見つめて話し出した。
「お前は、柊家が行っていた実験の末に生まれた子供だ。シノアや、真昼と同様に……成功した、一体だった」
『一体』
人として、数えられなかった。
「だが…お前は失敗作だった」
「え……」
先程、『成功した』と言っていた筈なのに。『失敗作』とは、どういう事だ。
そんな私の心情を知ってか、柊暮人はこちらを見つめて言った。
「鬼を混ぜられて生まれたお前は…柊家の、脅威になると恐れられた。真昼やシノアとは、比べ物にならない程に大きな力を持っていたからな。だから柊家は、お前を処分する事に決めた。だが……」
その頃を懐かしむ様に、目を細める。
「俺は、お前を引き取った。内緒でな」
「そんな事……」
『出来る訳が無い』
そう呟く前に、柊暮人は乾いた笑いを零した。
「出来たさ。誰も、俺の事なんて気にも止めていなかったからな」
自虐的な話だ。
そんな話を、聞きたい訳じゃない。
＿＿違う。そうじゃない。
「…ですが、私は、処分される筈…だった。なら、柊家が、そんな事を、見落とす訳……」
「真昼が協力してくれた。それに、代わりを用意したからな。誰も、お前が生きてい……」
「ちょっと待って下さい」
「……何だ？」
柊暮人が、何気なしに発した言葉。
だが、それは、何気なく、発してもいい言葉だったか？
まさか、そんな訳ない。
私の、聞き間違いの可能性もある。
確認しよう。
「『代わりを用意した』…とは……？」
柊暮人は、さも当然、と言う様に首を傾げた。
「処分されるお前の代わりに、赤ん坊を用意した、という事だが」
「は！？」
私は、堪らず声を上げた。
「本来、死ぬ筈の私の代わりに…何の罪も無い、子供が、殺……」
「仕方が無い事だ。お前を生かす為には」
「ですが、それは…！」
「なら、お前は此処には居ない。お前は、死にたかったか？」
「……」
そう言われ、思わず押し黙る。
言い返そうにも、言葉が出てこなかった。
「…それからお前は、俺が育てた。ずっと、誰の目にも当てない様にな」
柊暮人は、また淡々と言葉を並べ始めた。
私は、自分の命が他者の犠牲の上にあった事に驚いて、何も考えられない。
柊暮人は、そのまま話をして＿＿
「……お前は、世界が滅亡したあの日、俺の前から居なくなった。だが、お前には、これらの記憶が無い様だ。原因は分かるか」
そう言われ、首を横に振る。
もう何も、考えられない。
もう何も、考えられなかった。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
