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暗闇が辺りを包む。
声だけが、響いてきた。
「暮人兄さん！ちゃんと…ちゃんと、帰ってきますか！？」
幼い少女の声。
それから、
「勿論だ。だから、俺が帰ってくるまで、此処から一歩も出るなよ」
威圧感溢れる男の声。
暗闇から、一筋の光が漏れ出す。
「暮人兄さん…！」
光に向かって歩き出す大きな背中に、小さな手を必死に伸ばして、掴もうとした少女は＿＿私だった。
〜
「ん！？」
ハッとして起き上がる。
今のは、夢。
それなのに＿＿可笑しな程、鮮明に覚えている。懐かしく、思える。
何故。
頭を抱えて事の真相を考えていると、視界が可笑しい事に気が付いた。
可愛らしい、ファンシーな小物が転がっていた。
私が寝ているベッドは、パステルカラーの水色で、部屋の壁も同様の色で塗られていた。
戦場ではない、何処か。
赤が無い。
「…何処ですか、此処……」
女の子が好みそうな部屋だと思いながら、辺りをぐるぐると、首を回しながら見ていると、ガチャッと、ドアノブを捻る音がした。
「起きたか」
ドアから出て来たのは＿＿柊暮人。
私が大っ嫌いな男だ。
勿論、小説などを読んで、この人はこの人なりに苦労して、今、この場所に居る事を理解していても。
一瀬グレンを痛めつけた事、岩咲秀作達を殺した事、その他の事から、どうしても、好きにはなれない。
「……何ですか」
腰に携えてある《青炎竜》に手を掛け＿＿られなかった。
無かったのだ。
そこに。
「青炎竜なら此処にある」
柊暮人はそう言うと、私の刀を投げた。
慌てて受け取り、傷が無いかを確認する。
鞘から抜き出し、刀身も。
「傷など付けていない。安心しろ」
その言葉の通り、目立つ傷は無かった。
擦り傷程度なら、複数あったが。
「…何故、貴方が青炎りゅ…う……」
ふと思う。
彼等は、どうなった。
月鬼ノ組の彼等は。
一瀬グレンは。
吸血鬼は。
「柊暮人さん。貴方に、聞きたい事があります」
姿勢を正し、目を見る。
「…『柊暮人さん』……お前は俺を『暮人兄さん』と呼ぶんだがな」
「……は？」
柊暮人がそう言ったかと思うと、私の傍まで歩いてきて、聞いてきた。
「お前は、Aであっているんだな」
今更ながら、名前を聞かれる。
「はい。そう…ですが……」
「お前の鬼は、青炎竜と、禍竜。間違いないな」
何故、私の《鬼》の名を知っている。
言い知れぬ恐怖に、私は《青炎竜》の柄を握りしめた。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
