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慌てて後ろを振り向くと、
「…」
柊暮人の顔があって思わず、
「ヒッ」
と、怯える。
「本当に……」
柊暮人が、そんな私の反応を無視して、声を発する。
「本当に、Aなのか……?」
あの、何時もの高圧的な態度はどうした。
そう言いたくなる程、柊暮人は弱々しく私に問い掛けてきた。
まるで、以前からの知り合いだとでも__違う。そんなものじゃない。恋人、又は家族だとでも言う様に。
こんな問いに、答えている暇はない。
けれど、
「……はい。そうですが」
答える。
吸血鬼の輸送機の音が聞こえて、同時に、ダンッという、複数の音がした。
吸血鬼達が、この地に降り立った合図。
「深夜様、吸血鬼の貴族達が……!」
十条美十が声を上げる。
「クソッ。こんな数じゃ、相手なんて……!」
本来なら、一瀬グレンが刀で敵味方関係なく殺害し、終わりのセラフを発動している頃。
終わりのセラフが発動されない今、日本帝鬼軍側は明らかに劣勢だ。
柊暮人の手を払い除け、刀を手に持つ。
「青炎竜、私に力を!」

〈やっと、私の名前を呼んでくれるのね〉

嬉々とした《青炎竜》の声が聞こえたかと思えば、力が身体を巡るのが分かる。
ダッと一人で前に駆け出す。
最前線。
ただ、独り。
「青炎竜…だとしたら、もう一匹の鬼は……」
私の背後の柊暮人が何かを呟いたが、もう、聞き取る事は出来なかった。
「深夜さん!皆さん!急いで退避を!此処は……」
しっかりと吸血鬼を見据え、刀を構える。
「私が何とかします!だから……」
「Aちゃんを置いてはいけない!君は新人だろ?!無理をしたって……」
向かってくる吸血鬼に、刀を薙いで応戦する。
「私には、帰る場所なんて無いんです!此処で死んだって……誰も、誰も気付きませんから!だけど、皆さんは違う!仲間が居て、家族が居て、友達が居る!貴方達が死ねば、悲しむ人は必ず居る!だから!」
《青炎竜》の斬撃を飛ばして、吸血鬼を切り殺していく。
燃えて、塵となる吸血鬼が居る。
死に損なった、吸血鬼が居る。
「帰って下さい!終わりのセラフを、使う前に!!」
『!?』
一同が、声にならない驚きを示した事が伝わる。
「やはりか……」
「クルル様が仰られていた通りだ」
私に向かってくる吸血鬼が、そんな事を呟くが、
「ほらほら、吸血鬼さん!!他の事に気を取られていたら、貴方のお命、頂いてしまいますよ!!」
刀を薙いで、殺す。
ただただ、殺す。
月鬼ノ組の彼等を、皆を、守る為に。

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設定タグ:終わりのセラフ , 一ノ瀬グレン , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます!紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか?嫌だったらすみません。更新頑張って下さい! (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナガミ | 作成日時:2017年1月26日 20時

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