選択のｼﾞｶﾝ ページ27
《禍竜》と過ごした時間は、経っていて数時間。
だが＿＿こんなに慌てている《禍竜》を見るのは初めてだ。
[どうしたんですか？]
死を目の前にして、やけに落ち着いたまま私は問いかけた。
吸血鬼が私を殺そうと、手を振り上げる。
此処で死んだら、一瀬グレンを助ける事も、私の疑問を解決する事も、何も、出来なくなるんだな。
なんて、冷静に思うのだから不思議だ。
そんな時に＿＿
「ねぇねぇ。どうせなら、もっと痛ぶってあげようよ」
聞き慣れた声。
目の前の、吸血鬼の男の動きが止まった。
フェリド・バートリーだ。
何でもいい。
もう、何でもいい。
《禍竜》の話を、聞かなければ。
〈力を求めろ！主！あんたの言ってた『仲間』ってのが全員殺されるぞ！！〉
《禍竜》の言葉。
一回聞いただけで、理解した。
一瀬グレンが完璧主義者に代わった＿＿と。
[吸血鬼をも拘束出来る力を持っているのに、抑え込めないのですか…！？]
《禍竜》の焦り具合から、それがどれだけ大きな力なのか容易に予想出来る。
〈今はまだ出来る。けどな、後数分もは持たねぇ…だから、主。俺達《鬼》の糧は、人間の欲深い欲望そのものだ。それが、憎しみでも、悲しみでも、妬みでも、嫉みでも…全ての欲望が、俺達の力になる〉
《禍竜》は、必死そうに、言う。
〈今捕らわれてるその縄を引きちぎるにも、俺達《鬼》の呪いが必要だろ！？力を求めろ、主！迷ってる時間はねぇぞ！？あんたが力を求めなければ、今此処に居る全員が殺されて、あんたも其処で終わりだ！それでも良いのか！？〉
《鬼》は自我を持たない。
《鬼》は自我を持たない。
筈なのに＿＿《禍竜》はこんなにも、焦っている。焦りを顕に、私に選択を迫ってくる。
力を求めろ。
力を求めろ。
力を求めなければ、代償に仲間が死ぬ。
もし、欲望を膨らませたとして、《禍竜》が一瀬グレンを抑え込めたとして、月鬼ノ組が死なないとして＿＿私の自我は、保てるのだろうか。
だが、《禍竜》は言った。
『迷っている時間はねぇぞ』
なら、なら、私は＿＿
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
