吸血鬼のｼｭｳｶｲ ページ25
｢ぅん……｣
意識が覚醒され目を覚ますと、
｢やっと起きたか、人間｣
目の前に、端正な顔立ちの男が居た。
真っ赤に染まった瞳に、尖った犬歯が特徴的な男。
吸血鬼だと、悟った。
咄嗟に刀を抜こうとして＿＿
｢っ！？｣
腕がびくとも動かない事に、目を見開く。
身体を見ると、麻縄でキツく縛り上げられていた。
このままじゃ、何も出来ない。
いや、それよりも＿＿いつの間に、移動したのか。そもそも、此処は何処なのか。
辺りを見回す。
上にあるのは、空。百夜優一郎達が憧れた、空。
周りを囲む様に、巨大な建造物が立ち並ぶ。ビル街。
周りを歩いているのは、目が赤く、犬歯の尖った吸血鬼ばかり。
人間は＿＿
｢弥生さん！鍵山さん！！｣
血を流して倒れている、その二人が目に入った。
そうか、理解した。
此処は、一ノ瀬グレンが捕まった際に連れてこられた場所だ。
やはり、《鬼》との会話は時間を削がれる。
｢黙れ、人間如きが喋るな｣
男が、私の口を手で押さえる。
殺意を宿した瞳に、不思議を感じる。
＿＿吸血鬼とは皆、こんな風なのだろうか。
人間という劣等種に対して、こんなにも敵意を剥き出しにする。
それではまるで＿＿
｢子供の意地の張り合いの様ですね｣
嘲笑する様に、そう言った。
少し首を後ろに下げ、喋れる様にしてから。
吸血鬼の男は、途端に眉を吊り上げた。
｢貴様、今なんと言った｣
明らかな殺意。怒気。
だが＿＿そんなものへの恐怖は、知らぬ間に消えている。今は何とも、思う事すらない。
ただ＿＿この殺意に対して、殺意で返す事だけを考える。
｢間抜けだと、言ったんですよ。分かりませんでしたか？｣
今度は、本当に嘲笑って。
吸血鬼の男は、歯をギリッと噛み締めると、
｢貴様、人間のくせに、生意気なぁあ！｣
身動きの取れない私を、容赦なく蹴り飛ばした。
高く飛び、地面へと抵抗する事なく落ちる。
つま先が鳩尾に入り、酷い痛みと、呼吸が出来ずに、
｢ガッ！？ハッ、ァア……！｣
惨めに背を仰け反らせる。
＿＿一瀬グレンは、こんなものに耐えていたのか。
冷静さを欠かない彼の姿が目に浮かんだ。
その瞬間＿＿頭にピンッと、ある事が考えついた。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
