捕らわれたカラダ ページ23
拘束されて、少し時間が経った。
「あぁ、暇ですね。チェスさん、ホーンさん、お二人でチェスでもしてくれませんか?暇なので、何かしら見たいのですが」
あまりに暇を持て余して、そんな事を口走る。
いつ殺されるか、という恐怖は、特に芽生えて来ない。
チェス・ベルが、命が惜しく無いのか、とでも言いたげな目を私に向けてから、
「クローリー様、何なんですかこの人間!生意気過ぎますよぉ!血を吸っても良いですか?!」
と大層苛立っているのか、そんな事を言った。
私の血なんて吸って、美味しいのだろうか。
クローリー・ユースフォードはこちらを一瞥すると、
「殺したら、フェリド君に僕が怒られるからなぁ…まぁ、チェスでもしててよ」
「何なんですかそれぇ」
クローリー・ユースフォードの返答に、チェス・ベルは呆れた様に溜め息を吐いてから、
「ホーン、チェスしましょー」
「はいはい、分かりましたよ」
何処からかチェスの盤、駒を取り出し、早速対戦し始める。
その様を見つめていると__
<主、大丈夫かよ>
《禍竜》の声が耳に届いた。
[大丈夫じゃないですね。拘束されて、身動きが取れません]
<それじゃあ、俺が力を……>
[まぁ別に、今は困ってないので良いのですが、グレンさんは?]
私の言葉に、《禍竜》はぶっきらぼうに言った。
<今丁度、主の言ってた人間の所だ>
[…そう、ですか……]
一瀬グレンが比較的安全な場所へ避難した事に、安堵する。
一瞬だけ、意識を《鬼》の住処へ移して、
[ありがとうございます、禍竜。貴方のおかげで、グレンさんを助けられました]
何処に行くでもなく、ただ其処に佇んでいる《禍竜》の頭を撫でた。
背が高くて、少し背伸びをしなければ届かなかったけれど。
<……ん>
《禍竜》は嫌がるかと思ったが、別段そんな事も無く。寧ろ、何処か嬉しそうに感じた。
背伸びをやめ、改めて《禍竜》に向き直り、
[禍竜、まだ貴方に、お願いしたい事があるんです]
少し真剣な面持ちで、話を持ち掛けた。
とても、とても重要な話を。
24人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます!紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか?嫌だったらすみません。更新頑張って下さい! (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナガミ | 作成日時:2017年1月26日 20時