天使のｻｻﾔｷ ページ3
「はぁぁあ……今回も尊かった」
最新巻を閉じ、感嘆する。
眠る前の日課となっている、終わりのセラフの漫画を読む事。
今日は最新巻の発売で、何度も読み返してしまった。
つくづく思うのだが、この漫画の世界観、以前にも体感した事がある気がする。
気のせいか？
「……気のせいでしょうね。こんなに素敵な世界観のお話を、読んだ事がある訳無いんですから」
溜め息を漏らし、掛け布団を被る。
「…もし私が、あちらの世界に行けたとして、もし私が、最強だったとして……」
仮定の話は無意味。
そうだけれど、してしまう。
無理だと分かっていても。
グレンさんに、会いたいと思ってしまう。
「吸血鬼の貴族を、難無く倒せてしまう程に、強いとしたら……」
グレンさんを、救いたいと思ってしまう。
好きだから。
愛してるから。
漫画のキャラでも。
空想でも。
私の、初恋だから。
「私はグレンさんを、助けたい。救いたい。鎖から、解き放ちたい」
無理だと分かっているから、笑みが零れる。
眠ろう。
また、無意味な事を、考えてしまわない様に。
〜
〈ねぇ、貴女は本当に、グレンを助けたいと思っているの？〉
真っ白な世界の中、誰かが問い掛けてくる。
鈴を転がす様な声。
時々見る、不可解な夢。
｢えぇ、勿論ですよ｣
普段通り、警戒しつつ返す。
〈…そう、貴女は、変わらないわね〉
瞬間、背後で何かが渦巻くのを感じた。
暗い、昏い、儚い、冥い、何か。
慌てて、背後を振り向く。
そこには＿＿
〈こんにちは、Aさん〉
妖艶に微笑む、美しい、とても、美しい、女性。
いや＿＿とても、人とは思えない程に、美しい。
初めて見た筈なのに、見覚えがあった。
懐かしさがある。
｢あ、貴女は……｣
がその言葉を遮って、
〈もう時間はないわ。さぁ、行って。下らない物語を、変えましょう？〉
パチンと、指を弾く。
途端に視界が黒く染まり始める。
どこか、見覚えのある仕草だった。
パチンと指を弾く、その仕草。
暗闇に誘われる、混沌とした意識の中で、見覚えがある理由を探す。
｢…あぁ……｣
思い出した。そうだ。
｢阿修羅丸｣
優一郎の所持している《鬼》と、同じ仕草だった。目覚めさせる為の、仕草。
なら＿＿希望的観測は、とても楽しい。
もしかしたら、この人は＿＿《鬼》で、私は＿＿
〈一瀬グレンを、救いましょう〉
意識を手放す直前に、そんな言葉が耳に届いた。
その言葉の意味を問い質す事は、出来なかったけれど。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
