貴方を救いに【終わりのセラフ】

戦いのｶｲｼ ページ20

天井に空いた穴から、余裕そうにクローリー・ユースフォードは降りてくる。
｢君、日本帝鬼軍の子？その人間の知り合い？｣
半目で問い掛けてくるクローリー・ユースフォードの行動が、いまいち読めなかった。
｢それを聞いて、何になりますか？｣
｢んー、僕は別にどうでもいいんだけど……｣
答えを最後まで聞かずに飛び出す。
刀を横に薙ごうとして＿＿また、止められた。
｢クソッ｣
一度後ろに下がり、またクローリー・ユースフォードの元へと走る。
｢何やってんだA！此処に来いなんて命令は出してないはずだ！｣
一瀬グレンの声。
｢命令は出ていません。ですが！｣
クローリー・ユースフォードに刀を振り下ろしながら。
｢貴方を助ける為に、私は此処に来たんです！｣
刀を剣で受け流される。
そしてそのまま、剣を振られ＿＿
｢っ！｣
慌てて身を攀じり、その攻撃を回避する。
ズバッと、後ろの壁が斬られた。
ゾッとして、一瞬動きが止まる。
｢えー、これ避けれちゃうの？君、凄いね。でも…これで、お終いだよ｣
その一瞬を、クローリー・ユースフォードが見逃すはずもなく＿＿私の体目掛けて、剣が振られた。
反射的に刀を持ち替え、反応する。
しかし、力に抗えずに、壁の方まで飛ばされる。
｢ガッ｣
体が打ち付けられ、肺が押しつぶされたかの様な感覚に、息が出来なくなる。
床にだらしなく崩れ落ち、無様に過呼吸を起こす。
｢ハァ…ハァ…っ……うぁ…ハァ……｣
酸素が脳に届かず、朦朧とした意識のまま刀を支えに立ち上がる。
｢もう良い。もう良いから、早く逃げろ！コイツの相手はお前じゃでき……｣
｢ハイハイ煩い。家畜如きが騒がないの｣
｢ガッ！？ゲホッ、ゲホッ……｣
一瀬グレンがクローリー・ユースフォードに蹴られた。
その瞬間、
｢きっさまぁああああああ！！！｣
怒りが、殺意が、心を支配する。
その場から飛び出し、刀を振り上げる。
また、受け止められる。
｢…重くなったね。何処からそんな力が？｣
｢答える義理などないです！｣
｢それもそうだね｣
もう一度刀を振るう。
受け止められる。
剣を振るわれる。
受け止める。
攻防の繰り返し。
終わりは見えない。
｢やめろ！やめてくれ！｣
一瀬グレンの声を聞きながらも、ずっと、ずっとひたすらに、刀を振るい続ける。

一瀬グレンを助けると、誓ったから。

私は、ただただ刀を振るい続けた。

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