時のﾅｶﾞﾚ ページ18
適当にビルを見繕う。
ビルとビルの間に隙間を見つけた。
その隙間、約一メートル。
路地＿＿と言った方が正しいのかもしれない。
そこへと急ぎ、両方の壁を蹴りながら上へと上がる。
｢フッ…ハッ……｣
＿＿これも、難なく出来るのか。
元の世界で、こんな事などした事がないのに。
やっぱり私は、以前に訓練された事があって、記憶は無くても、身体が憶えてる＿＿といった所か。
ビルの屋上に上がり、周りを見渡す。
見渡す限り、崩壊した世界。
人の存在など、一つとして感じ取れない。
名古屋市役所は、何処だろうか。
あの煉瓦造りの建物なら、目立つだろう。
直ぐに、見つかるだろう。
目に《鬼呪》を集める。
広範囲を見渡せる様に。
遠距離にあるものを探せる様に。
じっと目を凝らし、探す。
戦場を、憎い敵の居場所を。
その時＿＿
ドドォ
という、轟音が響き渡った。
私が目を凝らしていた方向と、反対側。
｢な…何ですか！？｣
異様なその音に、跳ねる様に後ろを向く。
私の目に飛び込んできたのは＿＿縦に大きく切れ目が入り、崩れ去ってゆくビル。
私の居る場所から、大分離れた場所だった。
ギリギリ、《鬼呪》によって見える様になった程、遠い場所。
まさか。
そう思った。
だが、この破滅した世界で、こんな事を、こんな状況で出来る者など限られていて＿＿
｢クローリー・ユースフォード……！！｣
あの、憎い吸血鬼の名を叫んだ。
感じとしては、百夜優一郎が二度目の戦いを挑んだ辺りだろう。
随分、時間は進んでしまった。
此処から走ったとして、一瀬グレンを助ける事は可能だろうか。
不可能に近いだろう。
不甲斐ない。
〈《鬼》の呪いを暴発させれば、助ける事は可能よ〉
《青炎竜》の言葉に、私は首を横に振る。
［それをした所で、自我が無ければ意味が無いんです。自力で頑張るので、邪魔しないで下さい］
その言葉と共にコンクリートの床を蹴り上げ、隣のビルの屋上へと飛び移る。
間に合う、間に合わないの問題ではない。
遅くても良い。助けに行く事に意味があるんだ。
焦りを感じながらも、名古屋市役所への最短距離を走り出した。
間に合う事を、祈りながら。
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Sayura(プロフ) - ナガミさん» ありがとうございます！紹介させていただきます。お返事遅くなってしまってすみません。 (2017年2月19日 19時) (
レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Sayuraさん» Sayuraさん、コメントありがとうございます。作者のナガミです。面白い…大変恐縮でございます。Sayuraさんが宜しいのであれば、紹介して頂いても大丈夫ですので、よろしくお願い致しますm(_ _)m更新、頑張らせて頂きます！ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - はじめまして、Sayuraといいます。とても面白いと思ったので、この作品を私の作品で紹介してもいいでしょうか？嫌だったらすみません。更新頑張って下さい！ (2017年2月17日 0時) (レス) id: 5dae6bbc32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2017年1月26日 20時
