星のカービィの短編集

おもいでのはな(タランザ) ページ35

※TDX終了後、夢主とタランザはデデデの元で働いている設定


セクトニア様がカービィにやっつけられていなくなってしまった。そんな日がたくさんたとうとしていた。

「タランザ、タランザ」
「はっ！？急にどうしたのね！」
「何回もよんだもん、きづかない方がわるいもん」

一緒のタイミングでデデデの下で働きだしたタランザは、ずうっとワールドツリーを見ている。すごく悲しそうに見ていて、こっちがいたたまれなくなっちゃうくらいに。

「……タランザ、今夜はさんぽいこう」
「何でなのね」
「遊ぶのイヤ？」
「そこまで言ってない！」

タランザと夜のおさんぽを楽しむために、仕事やご飯を早めにすませた。タランザも同じようで、夜に集合場所に着いた。先に来ていてぷんぷんしていた。

「遅いッ！」
「おそくないよ」
「普通、もっと早く来るべきなのね！」

せかせかさんだから、セクトニア様のワガママをしのげたんだと思う。わたしはのろのろさんだから、いつも怒られた。今はデデデだから、怒られることは減ったけど。
怒っているタランザを連れて、目的地に行ってみる。後ろからタランザがふわふわついて来てくれている。

「ついたよ」
「え、え……」

目の前に花を咲かせたワールドツリーがそびえたっていた。それを見たタランザは、小さく震えた。

「怖くていけなかったんだよね、わたしもなんだ」
「そ、そんなこと、ないのねっ！！」
「セクトニア様は戻ってこないけどさ、わたしたちだけでもすてきな思い出を覚えておこうよ。その間は、きっと楽しく思えるから」

セクトニア様が鏡を手に入れて変わった時はとても悲しかったけど、お友達としての記憶が根深く残っていたからずっと一緒にいたかった。またわたしを含めたみんなで、楽しい思い出を作れるって信じていたから。ずっとそばで仕えてた。それは叶わなかったけど、カービィには感謝してもしきれないと思う。
横ではタランザが泣きそうになっていて、顔をくしゃくしゃにしていた。

「泣きたいなら、泣き止むまでいるから」
「泣いてない、のねぇ……」

強がりを言っているけど、セクトニア様が一番大好きだったから辛いのは痛いほど分かる。わたしも好きだったから。
震えて泣き声を殺しているタランザの銀色の髪を背のびして何とかなでて、ワールドツリーを見上げた。ゆらゆらと夜風にゆれている花々は、タランザをなぐさめているようだった。


(夢主も虫デザインなんだよなぁ……)

礼には及ばないさ(メタナイト)→←ぼくらは生きるよ(水兵帽のワドルディ)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す