笑顔のキミが好き【千】

付き合い始めて　〜千side〜 ページ14

Aが逃げる。

付き合い始めたというのに、仕事ではちゃんと構ってくれるのに、終わると逃げる。

ちゃんとムードも作るようにしてるのに。

なんで。

・

『お疲れ様ー！お先失礼しまーす！』

「待って。一緒に帰ろう。」

『バイバイ千！百！』

「えっ、ちょ･･･っおかりんに送って貰･･･っ」

「わー、A早い･･･」

「モモ、なんでAは逃げるの？」

「んー？照れてるだけだよー。モモちゃんもユキに迫られると、キャッ！ってなるし！」

「そう･･･？」

今までは付き合う事を断られても、ちゃんと話をしてくれたし、たまに抱きしめても受け入れてくれた。

それが今では、仕事以外では触る事はおろか、話すことも難しい。
仕事で会った日でも電話はしてる。

「なんで先に帰っちゃうの。あの後仕事じゃなかったでしょ。」

･･･『いいでしょ。』

「明日も仕事だよね？僕オフだからAのとこ行って撮影見るから、一緒に帰ろう？」

･･･『え、いや、何時に終わるか分からないからいいよ。朝早いから無理しないで寝てて。』

「ずっと一緒にいたい。」

･･･『･･･っいや、問題になったら困るでしょ？』

「困らない。ユキヤス派は喜ぶよ。」

･･･『モモヤス派は悲しむでしょ。』

そう、モモの誕生日の時に写真を撮られたらしく、モモとAが待ち合わせて歩く時の写真や、僕の家の窓にAの影が写ったりした写真がネットに流出している。

モモが見つけた。

スクープになってないものの、一歩間違えればスキャンダルにされる。
おかりんが写真の削除に取り掛かった時には既に遅く、処理しきれない物になってしまった。

「Aには黙っていよう。忙しいから、この事に気を逸らせてしまったら自分のせいって悩むかも知れない。」

モモがそう言った。

「仕事は仕事だと言って、ちゃんとしそうだけど？」

と僕は言ったけど、それでも悩みがあるのとないのとじゃ違うでしょ？と言われた。
この時は諦めようか迷っていた時期だったから、それ以上言わなかった。

本当は少し位悩んで欲しかった。

Aが僕の事を考える時間を少しでも多くあってほしかった。

･･････重症だ。

Aと出会った頃の僕が見たら、気持ち悪いと一蹴するだろう。

しかし流出した写真によってもたらされた物は、僕とおかりんは勿論、モモの考えをも上回る事態になった。

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