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409 (諦めない心) ページ3

恐る恐るチョコレートに手を伸ばす。

別に家が貧乏なわけじゃないと思うけど、一粒何百円とするトリュフは、プレゼントじゃない限り口にする機会はない。

きっとこれは一粒2〜3百円じゃすまないやつ。
大事に味わっていただかなくては!!

いただきます、と言ってから四角いチョコを一かじり。
パリッとした薄いチョコの歯ごたえのあと、一瞬にしてトロッととろけて口に広がる中身のチョコ。


『っ、めっちゃ美味しい・・・!!な、中のチョコが口に入れた途端にトロッとして溶けた!』


感動のあまりまくし立てると、弟が苦笑いして、虎於くんは、ガナッシュ美味しいですよね、と仄かに笑みを見せて頷く。

少しでも虎於くんの笑みが見られて、心なしかホッとした自分に気づいた。
ちょっと緊張してたようだ。

紅茶も勧められて、虎於くんを前に断れなくて飲む。
紅茶はいつも家で飲んでるのと、味の違いがよく分からなかった。


『香りがめっちゃ良いのは分かった・・・』
「ぶっ・・・」


弟が吹き出した。
いちいちかんに障る。

ジロッと睨むと、弟が耳打ちしてきた。


「姉ちゃん、顔、顔。眉間にしわ寄ってる。紅茶が高いの分からんって顔してる」
『えっ』


慌てて自分の眉を隠す。
気持ちは真っ青だ。


「っ、くく・・・」


虎於くんまで笑い出した!!

ショックと共に恥ずかしくなってくる。


「本当に仲良いな、弟の所」
「虎の所も仲良いだろ」

「・・・・・・まぁな」


虎於くんは何かを思案したらしく見えたけど、それも気のせいかと思える程の明るそうな笑みを見せてから、ティーカップに口をつけていた。

一段落すると、虎於くんの成績表や定期テストの結果だったり答案だったりを見せてもらう。


『かなり出来てる方だね』


本当に家庭教師が必要なんだろうか?ってレベルだ。

首を傾げながら問うと、虎於くんは何でもないような顔で頷いた。
当然だと言いたげな。

自信あるんだな。
でなきゃ言われ慣れてるか。

けど、何も努力しないでこの成績を取れるわけじゃないだろう。
基本的なことは出来てる感じもするし。

大学の志望校を聞くと、海外の大学の名前が出る。
今まで担当した生徒の中で、1番難易度の高い大学だ。

私で務まるかどうか一抹の不安を抱えながら、今までの勉強の頻度などの必要なことを聞いた後で、家庭教師の曜日と時間を話し合う。
ーーと言っても、ほぼ私が決めたんだけど。

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作者名:miz | 作成日時:2024年2月9日 0時

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