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マンションに帰ると、妹がリビングでテレビを見ていた。


「おかえり〜。お姉ちゃんのご飯あるけど、食べる?」
『ただいま・・・うん、食べる・・・』


冷蔵庫から飲み物とサラダを自分で出す。
温めるだけだからと言って妹が出してくれたのは、クリームコロッケらしき形状のものご2つと味噌汁。


『あ、買ったんだ?』
「コロッケはね」


言いながら妹が小皿に入ったナムルとご飯をくれる。
かと思えば卵を割りステンレスボールに入れ始めた。


「食べてて」
『あ、いただきます』


手を合わせて食べ進めてると、ほうれん草やにんじんが入ったオムレツが目の前に出された。
きれいな形。さすが妹。


『ありがとう』
「ううん。じゃあそこで勉強するね」


テレビは消さずに、テレビの前でノートと赤本を広げる妹。
いつも食事の時はテレビがついてることが多いから、そのままにしてくれたんだろう。

私は口をもぐもぐさせながら、テレビの電源を消しに行く。行儀は悪いが。


『いいよ、消しといて』
「そう?わかった」


再び椅子に座り食事を再開させるものの、帰り道に考えた、妹の気持ちが頭をよぎった。


『・・・ねぇ、妹』
「ん?」
『昨日のことなんだけど・・・』


妹の方に体を向けて言うと、妹は私の方を見上げて気まずそうな顔をしている。

言い過ぎたかとでも思ってるんだろうか?
介入するべきではなかったかもと、自分で思ったんだろうか?

けれど、思ったことは本当だから取り消せない、ってところかな。
私が虎於くんに対して思うことと似ているのであれば。

それならば、私の心の中だけに留めておこうと思った言葉は、妹にとって少しの救いになるのかもしれない。
私と妹は同じではないし姉妹だからって何でも分かるわけじゃないけれど、姉妹だからこそ分かることもあるから、それに賭けよう。

そういう想いで口を開いた。


『百瀬くんのことね、ずっと離れたままでいるのは決まったことだからどうにも出来ないけど、立ち位置がファンであれ元カノであれ、百瀬くんの事を好きな気持ちは、きっとずっと変わらないよ』
「え?」


妹が、驚いたように目を見開く。


『テレビに出てる今のRe:valeを見て、好きになった人と変わらな・・・』
「違うよ!」


妹は大きい声を出して立ち上がった。
今度は私がビックリして、目をパチパチさせる。

それに気付いてか、妹は落ち着いた様子で口を開いた。

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作者名:miz | 作成日時:2024年2月9日 0時

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