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百瀬くんと別れてから1週間。
何かしてればそれに集中できるも、一瞬でも気を抜けば百瀬くんを思い出してしまう日々が続いていた。
てか本当にあるんだな。何かやってれば考えなくてすむっていうこと。
小説やドラマの中の話だけなんだと思ってた。
救いなのは、弟や他の人から、百瀬くんやRe:valeの話が全く出ないことだ。
話を振られたらまだ胸に込み上がってくるものがあるから。
1人でボーッとしてると、そうなってしまうから。
そんな時、虎於くんの家に行く日がやってきた。
・
明らかに応接間みたいな所に案内され、勧められるままにソファに座る。
出されたチョコトリュフとティーカップは見るからに高そうなものに見えた。
チョコはともかくティーカップは、正直口をつけるのも・・・というか、触るのですら怖い。
弟は普通に飲んでるけど。
『高そうなのによく触れるね・・・』
「何度か来てるから、慣れたかな」
『慣れること出来るのこれ?ってか一般家庭に応接間ないよね!?』
隣に座ってる弟に、ひそひそと言えば
「虎の所は一般家庭じゃないと思う」
さっきから淡々と真面目な顔して返され、それもそうかと最後には納得する。
そもそも家を・・・いや、この豪邸を見上げた時から、そう言えばめちゃくちゃ大きかったっけ、ここの家。って昔を思い出したんだ。
少しすると、虎於くんが入ってきた。
や、と手を挙げて挨拶する弟。
いつも思うんだけど、弟の心臓ってどうなってんの?毛が生えてそう。
大神くんはともかく(失礼)千さんとも普通に話せるようになってたし、大神くんちにも行ったことあるとか言ってたし。交友関係が昔に比べてだいぶ広くなったし、尊敬できる人と気軽に会話できるようになってることが凄いよね。
弟を見ながらそう思うも、千さんの事を思い出して、芋づる式に百瀬くんが頭に浮かぶ。
一気に気持ちが沈んだ。
「チョコレート嫌いだった?」
一瞬にして虎於くんの言葉で意識が切り替わる。
顔を上げると、不思議そうな表情の虎於くんが私を見ていた。
「違う違う。姉ちゃん、高級そうだから手をつけられないって怯えてるだけ」
弟がニヤニヤと私をからかうように笑う。
弟をジロッと睨むと、虎於くんがカラカラと笑った。
「どこにでもあるチョコレートだから、気にしないで食べて」
絶対どこにでもあるチョコじゃないよ!?
高級ブランドだよ!!
しかし勧められたら手に取らないわけにもいかない。
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作者名:miz | 作成日時:2024年2月9日 0時