【アイナナ】 vale Side百 (ページ7)

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計画立ててやれば出来るよ、とか言わないんだ。

計画立ててやりなさい、遊んでないで勉強しなさい、優先順位決めなさい。そんなこと言う人が多いのは知ってる。
それに、難しく感じるのは中々出来ないって。

日頃から授業聞いてたり勉強してれば分かる、とも言わないんだ。

そういえば、勉強分からなくても一度も叱られたりイライラされたことはない。家族じゃないからってのもあると思ってたけど･･･

もしかして違うのかも。

勉強が出来る人なのに、出来ない人の気持ちが分かるんだ。

運動が苦手だからかな。
いや、理由なんて何でもいい。

オレ、Aさんが好きだ。

この人の、愛情の深い所や、人に寄り添った感情を見せてくれるとこ、めっちゃ好き。

そう思ったら、一気に周りが開けたような気がして、Aさんが更に可愛く見えてくる。

「Aは宿題終わったら何するの？」
『問題集。あと予習？来年のとかまで進むと面白いよ』

ものすごい良い笑顔で言うAさん。

「面白そうじゃないよ」

ちょっと引いてる姉ちゃん。
オレは、流石全国10位以内は考えることが違うな～って感心して、好きだなーって実感していた。

・

「百、Aのこと好きでしょ」
「ええ！？何で今！？」

8月上旬。
母ちゃんと交代した風呂上がりに、頭を拭きながらリビングに入ると、姉ちゃんがアイスを食べながらオレの方を向いた。

「ずっと思ってたし確証まではなかったけど、やっぱね～」
「いいだろ！オレが誰を好きでも！」

絶対に赤くなっているであろう顔で、気持ちがダダ漏れだったのかという事実に恥ずかしくなりながら言い返す。
姉ちゃんはアイスを手に軽く唸った。

「ん〜、友達だとちょっと微妙」
「なんで？」

やけに真剣味のある表情と言い方に、姉ちゃんの隣に座る。
姉ちゃんはトーンを変えずにアイスをかじった。

「例えばさ、百の友達の事を私が好きだったら微妙じゃない？」
「えっ？オレの友達に姉ちゃんの好きな人いんの！？誰！？」

思わず身を乗り出してみれば、目をこれでもかって位丸くする姉ちゃん。

「違う違う！例えばの話！」

姉ちゃんが慌てて否定するから、なんだ～とは思うものの考えを巡らす。

「いや？別に、好きならうまくいけばいいなって思うけど？」

どう考えても、幸せになって欲しいという想い以外は湧き出ない。
アイスを食べ終えた姉ちゃんは、ゴミを捨ててから元の場所に座った。