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6 (恋の自覚) ページ6

無理矢理な感じが見えたら割り込もう。

そう思ってると、オレがじっと見てるのに気づいたのか、Aさんがオレの方を見た。
気にさせないように笑顔を向けて手を振る。

Aさんも笑顔で手を振ってくれて、胸がぎゅうってしたような感覚がした。



「Aさん、これ、この公式使うので合ってる?」
『そうそう!じゃあここら辺まで1人で出来そう?』


教科書と参考書を見比べてるオレの横から参考書を覗き込んだAさんが、髪が邪魔になったのか、耳にかけながら参考書のページを指さす。
なんか良い匂いする!!しかも夏だから薄着で、ドキドキが割増!!

思春期特有の湧き上がる感情を何とか抑えてコクコク頷く。
視線を感じて顔を上げると、姉ちゃんがオレをじっと見ているのに気づいた。

もしかしてバレてる!?オレの気持ち!!
いやまだ気になってるってだけで!付き合いたいとか思うほど好きかどうかは分かんないわけで!!

夏祭りの時の胸の奥の感覚を思い出す。
いや好きなのかも?どっち!?わかんない!!


『瑠璃?なんか分かんないとこあった?』


内心大パニックのオレをよそに、Aさんも姉ちゃんの視線に気づいたみたいで顔を上げて、座布団から立つ。
姉ちゃんは弾かれたように、パッと笑顔に変わった。


「あ、うん。何個か。教えて〜」
『どれ?』


姉ちゃんに勉強を教えるAさん。

姉ちゃんの視線が外れた事と、Aさんとの距離が離れた事によって次第にオレの心は落ち着いていく。

なんかいいなぁ〜
将来先生とか似合いそう!
・・・・・・夢とか知んないから、勝手に想像するだけだけど!

姉ちゃんに教えてるAさんを見てから机に向き直るも、教壇に立つAさんを勝手に想像した。


『ん?進んでる?』


Aさんがオレの斜め横に座る。
手もつけてなかったから、慌てて式を書く。
Aさんはそれを見てから夏休みの宿題を始めていた。


「A、もう夏休みの宿題終わるの?」
『うん。毎年大体7月中に終わる。今年はもちょっとかかるし、小学校の時は一部中々終わらなかったけど』


Aさんの手元を覗き込んだ姉ちゃんが驚いたような声を出した。
オレも思わず口を開く。


「すごい!オレなんていっつもギリギリ最終日にやってたよ」
『それは、サッカーもやってたからでしょ?難しく感じるのは中々出来ないもんだし。私はこれしかなかったから出来ただけだよ』


そう微笑まれて、心がじんわりと温かくなった。

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作者名:miz | 作成日時:2023年12月31日 23時

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