【アイナナ】 vale Side百 (ページ4)

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どうにかして接点を増やしたかったけど姉ちゃんが嫌がるなら諦めるしかない。

オレが家にいない時、Aさんと姉ちゃんは時々遊びに来たり行ったりしてるみたいだし、その時にでも関われたら、でなきゃ高校一緒になればと思うことで納得した。

姉ちゃんの期末テストが一部返ってきたらしい日の夜。
家族全員揃った夕飯時に、姉ちゃんが窺うように口を開いた。

「あのね、私が百に勉強教えてるでしょ？それ、私の友達が百に教えるのに変えてもいいかな？」

お箸と茶碗を持ったまま、バッと姉ちゃんの顔を見る。
姉ちゃんは真っ直ぐ母ちゃんを見ていた。

母ちゃんはキョトンとして、Aちゃんのこと？Aちゃんは良いって言ってるの？と姉ちゃんに聞く。
姉ちゃんが頷くと、次はオレの方に顔が向いた。

「教わる？」
「教わりたい！出来るなら！」

お箸も茶碗もテーブルに置いて、お願い！って両手を合わせる。
母ちゃんと父ちゃんが視線で会話してるのを見ながら、心で祈る。

母ちゃんが仕方がなさそうに溜息をついた。

「Aちゃんへのお礼、何がいいかしらね」

嬉しくなって、ぱあっと笑顔になる自分が分かる。
自然と姉ちゃんを向いた。

「ありがとう！姉ちゃん！」
「百の事が心配になった私が、勝手にしたことだよ」

そういうことにしておいて、と暗に言われてるのが伝わって、でも本来の言いだしっぺはオレだから、もう一度お礼を言ってから箸を手に持った。

テストの答案を見て最終決定するとAさんが言ってた、と聞いて、答案を見せた日。

表情が固まったAさんが、呆れたような口調で言った。

『･･･受験生でしょ？今まで何やってたの･･･』

結構厳しい。

気になる人に叱られるオレ。
悲しい。

結果、夏休み前から2学期の中間テストまで、けっこうな頻度で勉強を教えて貰えることになった。

『参考書必要なんだけど』
「これあるよ？」

オレが出した問題集をAさんに見せる。
Aさんは、パラパラと捲った後唸った。

『これ、百瀬くんにとって分かりやすい？』
「え？普通の問題集でしょ？」

『ああ、言い方変える。問題、教科によってかもしれないけど、難しいとか思ったりしない？』

「ん？苦手な教科は難しいって思うのが普通じゃないの？」

ずっとキョトンとしてるオレ。
Aさんが困ったような表情で苦笑した。