21 近づく距離(高校1年) ページ21
・・・それより、どうしてもこのまま、次の約束を確実にとりつけてしまいたくなってしまう。
入学式とかでなく。
次に一緒に出かける日、というのを。
・・・断られないかな。
姉ちゃんにバレたとしても、Aさんから良い返事が貰えていれば、むやみに反対はしないだろう、という期待もある。
いやそもそも良い返事をもらえるのか?
今日、お台場に行った時、他にも色々あるよって、室内遊園地とか今度行こうかって、友達のようなノリで誘ったら友達のようにノってくれたけど、冷静に考えられたら「やっぱりちょっと・・・」って難色示されるかもしんないし。
オレとしては、どこでもAさんといられたら何でも良いんだけど!
社交辞令みたいにとられて受けられてたら嫌だし・・・
うう・・・と悩んだ結果、姉ちゃんの介入もそんなになさそうで、今朝に今度行こうかと誘った所に誘うことにした。
次に会うのは入学式という話をして、緊張から喉がゴクッと鳴る。
「あとお互いに部活動始まる前に、またお台場行かない?」
心臓がバクバクする。
部活動が始まる前、というのは、入学式から仮入部が始まる前までの日だ。
その間でないと、オレは部活でどこか行きにくくなるし、Aさんは外部受験するかどうか分からないけど、もし外部受験するなら受験生になっちゃうし遊べない。そもそも時期が延びれば、姉ちゃんが介入するかもしんないし。
色んな思考がごちゃ混ぜのオレに、Aさんが笑顔を向けてくれた。
『もちろん!』
その一言と笑顔で、全ての思考は取っ払われて幸せな気分だけが残る。
入学式後の日曜、今日と同じ待ち合わせの時間で約束し、大喜びでAさんの姿が見えなくなるまで静かに見送った。
・
4月ーー
朝、姉ちゃんが学校に行ったのを見送ってから新しい制服に袖を通し、母ちゃんと高校へ行く。
入学式だ。
「Aちゃんのお母さん、多分来られるのよね?弟さんも入学らしいし。Aちゃんにずっと勉強見てもらっていたんだから、挨拶と直接お礼を言いたいわ」
行きしに母ちゃんが言ってることに、うんうん頷くオレ。
Aさんの弟さんにも会えれば、確率は高くなるけど、と思いながら門をくぐる。
受付で自分のクラスを教えられ、クラスの全員の名前の一覧の紙と学校案内図を受け取ってから、教室の場所を確かめて行く。
保護者は体育館へ。
案内図を見ながら教室を見つけると、見知った人がいて駆け寄った。
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作者名:miz | 作成日時:2023年12月31日 23時