【アイナナ】 vale Side百 (ページ20)

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1つの綿あめを2人でちぎりながら食べる。

なんかめちゃくちゃカレカノっぽい･･･！！
実際は違うけど！

理想と現実の差に、一喜一憂しながら綿あめを口にした。

原宿にもこういうのあるよね、とか、行ったことがないとか話してると、Aさんの昔が気になってきた。

「昔どんなとこに住んでたの？引っ越したくさんしたって聞いたけど」
『神奈川だと坂が多かったり海が近かったりしたかな。大阪京都は中心部から遠くて、学校の裏手には竹林とかあったりしたよ』
「へぇ、竹林！面白そう！」
『入っちゃいけなかったけどね。愛知は名古屋駅まで電車でそんなにかからなかったから、都会の方だったかな』
「どこも行ってみたい～！京都は修学旅行で行くにしても、観光地以外行かないだろうしさ」
『確かに観光地以外は中々行かなかったね･･･』

Aさんが思いを巡らすように目線を上げた。
修学旅行を思い出してるのかな。

『百瀬くんは旅行とかあまりしないの？』
「行く行く！家族旅行とか！でもオレが年中サッカーばっかやってたし、今もやってるからさ、旅行とかは少ない方だと思うんだよね。オレはサッカー大好きだし全然良いんだけど、姉ちゃんとかはもっと出かけたいんじゃないかなーとか思うことはあるかな」

実は聞いたことはある。
けど「別に私は好きなときに出かけたり遊びに行ったりするんだから、気にしないでサッカー頑張ってれば良いんだよ」って姉ちゃんは言ってくれていたっけ。

『瑠璃は、それで文句が出るような子じゃないと思うよ。･･･知ってるとは思うけど』

Aさんが穏やかな笑みを浮かべる。
優しい。めっちゃ好き。

嬉しくなって、元気に「うん、知ってる！」と返した。

ハッピーな時間って、なんでこんなに早く過ぎるんだろう？
まだ一緒にいたいと思うも、時間は刻々と過ぎていく。
待ち合わせした場所で、送ります、と勇気を出したものの、断られてしまった。

まだ完全に日が落ちたわけではないので、夕焼け色の空が、住宅街の所々の屋根の間から見える。

でも家まで送るのが礼儀だし心配なくて良いのになと思う。
けどAさんにとって“友達の弟”だからだろうな、という引っかかりもあって、それでも送ります！と強く言えるはずもなく、諦めるしかなかった。

次に会えるだろう日は･･･
確か姉ちゃんが言ってたな。
オレの入学式ん時、Aさんが3年の代表の中に入ってるとか。