【アイナナ】 vale Side百 (ページ19)

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「えー？じゃあ彼女見たい！」
「私も！」

咄嗟についた嘘･･･本当になったらどれだけ嬉しいか･･･は、変なところに着地した。

「えー、じゃあちょっとだけだよ？変な誤解されると悲しくなっちゃうからさ。彼女出てきたら帰る予定だし」

多分彼女たちは、オレが本当に女子と来たのか確認したいだけなんだろう。
そして行きずりの人に断られる理由を目の当たりにして、納得したいだけなのだ。

案の定、オレの言葉に頷いてくれた2人を見て胸をなで下ろす。
ふと視線をトイレの方に移すと、Aさんは既に出てきていた。

ホッとして顔が緩んだのは言うまでもなく、手を挙げてAさんを呼ぶと、Aさんは若干申し訳なさげに、ゆっくりオレの方に来てくれた。

「じゃあね！」

２人の女子に手を振ると、残念そうな顔を隠そうともせずに手を振ってくれる2人。

けれどオレの意識は、Aさんに全力で向かっていた。

『知り合い？』
「ううん。知らない子たち」
『えっ？凄い仲良さそうに話してたのに！？』

目を丸めるAさんに、そこまでかな？と心の中で首を傾げながら、さっきまで声をかけてきた2人との一連の事を話す。
彼女って言っちゃった事を説明しながら、Aさんはどういう反応をするんだろう？って興味がわいた。

ところが悲しいかな、Aさんからは、驚き以外の表情は見られなかった。

帰ろうか、とAさんが笑顔を見せてからオレに背を向ける。

帰ったら、また今度って言って、2人で出かけるチャンスって中々来ないだろう。
もうちょっと一緒にいたい。

「Aさん」
『ん？』
「綿あめとかクレープ好き？」

甘いものが好きだと知っていたし、お台場周辺は誘うのにちょうど良かった。

･

「めっちゃカラフル！グレープ味にストロベリー味、メロン味！」

2つ前に並んでる人が注文したであろう幾重に重なっていく綿あめが出来上がっていくのを見て、テンションが上がる。

『値段結構するね･･･何味にする？』
「これにしよう！たくさん種類食べたいじゃん！2人で分け合いっこしよ！」

キョトンとしたAさんを前にハッとする。

もしかしなくてもオレはしゃぎすぎ！？
まだ一緒にいれることが嬉しいのもあって、ずっとテンションが高いことは自覚がある。

かあっと顔に熱が集まるも、Aさんがクスッと笑った。

『いいよ、2人で食べよう』

一瞬にして嬉しくなる。
めちゃくちゃハッピーすぎる！

嬉しすぎて涙出そう。