【アイナナ】 vale Side百 (ページ17)

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必死に頬を落ち着かせようとすると、出来なくて唸っているAさんが真顔でオレを見た。

『･･･ねえ、百瀬くん』
「えっ？」

『呆れたり笑いたかったりしたら、顔に出して良いんだよ･･･？』
「いやぁ、呆れてもないし面白いわけでもないんだけど･･･想像以上だなとは思ってる」
『やっぱ呆れてんじゃん！いーだっ！』

そう言いながらAさんが笑顔でオレにサッカーボールを押し付けてくる。

いちいち可愛い。

オレも笑ってボールを片手に持ち直し、壁にかかってる時計を見上げた。

「呆れてないって！コート使用できる時間が短いのも焦る理由の1つだろうし。あ、フォームは直せたじゃん。あとはタイミング」

慰めるように言うと、Aさんが少し目を潤ませていた。

『･･･そう？出来るようになるかな？』

うわーっ、その見上げるような潤んだ目、めちゃくちゃ反則！
ぎゅいーんと体温が上がるのを自覚するも、ハッとしてぶんぶん首を縦に振る。

Aさんがオレを誘ってるわけないし！

「楽しめるならやろう！それとも違うのやってみる？」

鞄から見取り図を出して話し合って、トランポリンに行くことにした。

トランポリンは他の人がピョンピョン跳んでると、揺れるからなのかAさんには難しそうだったけど、誰も跳んでいなければ自分のペースで出来るから、大丈夫そうだ。

でも跳んでてバランスを崩したAさんを助けた時、とっさに腕掴んじゃったのは、めっちゃドキドキしたな。

『お昼、フードコート行く？』
「うん！そうしよっか」

一旦休憩で腹ごなし。

友達と遊びに行くっつって、母ちゃんからお金貰ったけど、Aさんに奢れるまではない。
いつか奢れるようになればいいな。
姉ちゃんが反対すんのかもしんないけど。

そう思ったところで、以前の姉ちゃんの言葉が不意に頭をよぎった。

“告白してうまくいかなかったら？気まずいし、遊ぶのも今まで通りにいかないよ。それは百だったり私だったり、Aだったりするんだよ。･･･私、それは嫌だな”

うまくいくとかいかないとか、そういうのあんまり考えてなかった。

単純に好きだなって思って素直に伝えて。
付き合うとか付き合わないとか、そういうのよりも、好きって言われたら誰だって大抵嬉しいものって認識で。

でも確かにAさんへの気持ちは、それだけじゃ終わらない。