【アイナナ】 vale Side百 (ページ15)

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「3倍返しって言うんだから、少し位いいんじゃないか？」
「やったー！お父さんからは3倍返しだって！」

父ちゃんの言葉に姉ちゃんが諸手をあげて喜ぶ。

「姉ちゃんはどんなのがいいの？」
「え？百からも3倍返し？」
「中学男子のお小遣いそんなにあるわきゃないじゃん。他の友チョコのお返しとかもあんだから！」

ぷくーっと頬を膨らます。
姉ちゃんが苦笑しながら謝ってきた。

部屋に戻ってからパソコンの前でマウスをカチカチクリックする。
ホワイトデーにオススメのランキングサイトを見つけた。

返す物に意味とかあるんだ。
へえ。

そう思いながらドラッグしてる手が不意に止まる。

「これ･･･」

椅子から立って、タンスの引き出しを開けた。
Aさんから貰った匂い袋。
しまったままだからか、まだ香りが残ってる。

パソコンに表示された画面をもう一度見る。

この匂い袋の柄と画面にある和柄の巾着の柄が同じだ。
中身はキャンディ。

パッと匂い袋をしまって、和柄の巾着のページへ飛ぶ。

これにしよう。

カゴに入れて購入ページへ、をクリックしようとしてピタッと止まった。

重くないかな？
2人で出かける約束をしたとはいえ、Aさんにとっちゃ、友達の弟に過ぎない。
でも、これをあげたら所謂オソロイだ。
匂い袋と巾着の差があるとしても。

くれたんだから、気づくはず。それはきっと、姉ちゃんも。

買ってはいけないような気がして、カゴから巾着を消去するしかなかった。

結局、人気だという外国のトフィー缶をネットで買って、姉ちゃん伝いにお返しをした。

･

「行ってきまーす！」

姉ちゃんは彼氏が出来たとかで出かけていった。父ちゃんは知らないみたいだけど。

オレもオレで、Aさんとお出かけ！
友達と出かけてくるっつって出てきたけど、気分はデート！！一方通行だけど！

気持ちがはやって落ち着かないから、早めに到着。

1人でも待ってる時間ってワクワクして楽しい。
ちょっと緊張もしてるけど。

Aさんが割と早めに来て、並んで歩く。

今日の格好は流石にラフだ。
スポーツするから当たり前なんだけど、それでもやっぱり可愛い！

Aさんに気づかれないように、グッと胸元でガッツポーズをして、ニヤける顔を背ける。
持ち物とか行く場所とか話して、電車に乗った。

行き先はお台場。
Aさんは初めて来たらしい。
改札を出て空が見えると、キョロキョロ周りを見渡してる。