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偶然にも友達を見つけて少しだけ話しに行った弟くんを、Aさんと校門で待つ。
『ごめんね、弟勝手で。先帰っていいよ』
「オレも一緒に待つよ。友達いたら話したくなるよね!」
『ありがとう』
Aさんの笑顔が可愛い!
そう思ったら、無意識に思ったことがするすると出てくる。
「いや、なんだかんだ言ってミズさんも待ってあげてるし、そういう愛情深いとこ前から好きなんだよね!」
『え?』
真顔で固まるAさん。
「え?」
オレ変なこと言った?
キョトンとすると、少ししてAさんが顔を赤くした。
オレも自分で気づいて体温が上がる。
思わず好きって言っちゃった自分の顔を隠すように片手で顔を隠す。
『あ、あはは、愛情深いなんて照れる〜』
恥ずかしそうに後頭部を掻いてるAさんを気にする余裕はない。
うわー、うわー、思わず言っちゃった!
しかも流されようとしてるし!
ホントに脈ないんだな。
とほほって思ってると、Aさんが2個目のお願いが決まってるかを聞いてくれた。
その気遣いに、やっぱ好きだなって思って、お願いを口にした。
「春休みに一度、色んなスポーツがやれるアミューズメント施設一緒に行かない?」
Aさんがオレに勉強を教えてくれる代わりと言っては、オレが教わりすぎて釣り合いが取れなさすぎるけど、スポーツを教える約束をしたことがある。
それをする場所は、学校というわけにもいかないだろうし、どうしようと考えた結果、ちょうど良いところがあるのを思い出した。
それがスポーツのアミューズメント施設。
息抜きも出来るし、Aさんがどうしても嫌なら、サッと施設を出て近くで遊べば良い。
しかもこれなら多分、断られにくいと思って言った事だ。
きちんと口止めもして、約束の日時も決めて、家に着いた。
次にやることはホワイトデーのお返し。
何にすんのか迷ってる。
やっと買いに行ける!
自転車走らせてあちこち行くも、普通にかわいいのはあれども、ピンとくるのが見当たらない。
「どーしよっかな〜Aさんへのお返し」
「奮発してあげて」
と、母ちゃん。
「義理に、大げさなの返したら逆に困るよ?」
と、姉ちゃん。
母ちゃんは、それもそうね、と引っ込んだ。
義理、という言葉に、グサッと頭を刺されたような気分になるけど、それは一旦置いておく。
Aさんから勉強を教わったお礼、母ちゃんはずっと考えてるみたいだから、余計に気になるんだろう。
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作者名:miz | 作成日時:2023年12月31日 23時