【アイナナ】 vale Side百 (ページ13)

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13　(ご褒美) ページ13

その約束をするための日にするつもりで、一縷の望みをかけてAさんを拝む。

『えと･･･』

戸惑ったような声に両手を下ろして顔をあげた。
気まずそうな顔。

合格発表すら2人で行くのダメだとか！？
ガーンとショックを受けてると、Aさんが苦笑いした。

『それは良いんだけど、弟も一緒だと思うけど良い？』
「へっ？･･･あっ、良い！良いよ！」

今度は胸をなで下ろす。
忘れてた。弟くんも同じとこ受けてたんだった。

胸の奥がほんわか温かくなって、満面の笑顔でお礼を言った。

『あ、あと･･･少しだけ早いけどバレンタイン！』

帰り際、Aさんが鞄から、おしゃれな柄のラッピング袋を出してオレに差し出してきた。
中身見えてる。
合格祈願チョコ、何種類か。

「うわ～！オレ貰っていいの！？」
『どうぞ！』

感情が絶対に顔に溢れ出してる自信がある。
義理って分かりやすすぎ位分かるけど、めちゃくちゃ嬉しい！

「ありがとう！」
『そんなに喜ばれるなら、もっと豪華なのにすれば良かったね』
「豪華なのだったら嬉しすぎて困っちゃうよ！これで十分！」

豪華だと勘違いしそうだし。
その意味を込めて笑った。

合格発表前日。
姉ちゃんがオレの部屋に入ってきた。

「百、Aと高校で会う約束したんだって？」
「えっ！？」

ギクッとして体が強ばる。
なんで知ってんだ！？

「Aに聞いた」

ええ！？Aさん言っちゃったの！？
いや、口止めしなかったかも！言動を制限して窮屈な思いさせたくなくて！

オレの表情を読んだらしい姉ちゃんがジト目で見てくる。

「別に･･･弟くんも一緒らしいし、いいかと思って」

明るく言えるはずもなく、居心地悪い気分のまま零す。

「メインが弟くんなら別に何も言わないよ」

姉ちゃんが仕方なさそうに息を吐いて部屋を出て行く。

姉ちゃんとケンカしたことは多分何回もあった。
最近じゃ少なくなってきたけど、Aさんのことになると微妙な空気になってしまう。

受かったらご褒美、の話をAさんが受けてくれたら、今度は口止めした方が良さそうだなと息を吐いた。

合格発表日、めでたく合格出来ていたオレと弟くんは、Aさんに門で待って貰って書類を取りに行っていた。

書類を受け取るのに並んでいる時、弟くんに両手を合わす。

「ちょっとだけお願い！Aさんと2人きりにしてくんない！？」

弟くんはキョトンとしながらも頷いてくれた。