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泳げないことは憶測だけど、姉ちゃんが言ってたようなもんだし頷く。
でもそれよりも、Aさんが引っかかるような何かがあったんだろうという方が気になって、心配になった。
『実は･･･瑠璃達がスライダーに行くっていうから、私はスライダーの下あたりのプールサイドで待ってることにしたんだけどね･･･』
ポツポツと話してくれるAさん。
ナンパされて子供に庇われて、その後同じくらいの年齢だろう男子に庇って貰ったということを聞く。
しかも庇ってくれた人に叱られたという。
「え、助けてくれた人、めっちゃ優しい人だね！？」
『確かにそうなんだけど！』
Aさんが言うには、タオルを巻いてなかった事に対して相当軽蔑された目で見られたらしい。
今Aさんが無事で良かった。
ナンパするような奴でモヤモヤするより、その人に言われたことでモヤモヤする方が、Aさんはこれから自分の状態を気にしてくれるだろうから。
頭良いな、その人。
きっと優しい人だから悪者になっちゃえるんだ。
最後まで優しい振る舞いしてたら、Aさんがうっかり惚れちゃうかもしんないけど。
Aさんに、ナンパしてきた奴より、その人のこと考えてる方が良いことを言うと、Aさんが感心したように息を吐いた。
『百瀬くん、年下だけど私よりずっと大人なんだね』
「ええ！？そんなことないよ！？」
褒められて照れる。
Aさんが微笑んでるのを見て、ドキッとした。
それからは美術や音楽、体育も実技が苦手だという話を聞いて、いいことを思いついた。
いつも勉強教えてくれてるから、オレがAさんに教えてあげられる唯一の体育を教えてあげよう。
コツが分かってないだけかもしんないし。
何かを返せればって思ってたから。
その話や、文化祭とかの話をして、休憩を終えた。
あっという間に夏休みは終わり、中間テストも終わる。
Aさんと会える日がなくなった。
いや、姉ちゃんがAさんと家で遊べば、会えないこともないけど連れてこない。
やっぱオレがAさん好きなの微妙だって言ってるからかなぁ。
会いたい。でもそれなら、高校受かんなきゃと気合いを入れ直した。
「あら。すごいじゃない。中間テストの結果」
いくつか返ってきた答案を見た母ちゃんが顔を綻ばす。
オレもホッとしていた。
「他のもいつもより出来てる気がすんだ！Aさんの教え方、めっちゃ上手いんだよ。分かりやすいし」
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作者名：miz | 作成日時：2023年12月31日 23時
