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1 出会い(中3) ページ1

誰かも知らずに恋をした。



「いってきまーす!」


いってらっしゃいという母ちゃんの声と、朝食を食べながらオレと同じ癖っ毛を気にして整えている、2歳差の姉ちゃんの姿を背に、いつもながらサッカー部の朝練のために早く家を出た。
朝の空気はこんな都会でも、静かだからか澄んでるような気がする。


「よっし」


ふぅと呼吸を整えて、ランニングで学校に向かう。

いつもの通り道。

母ちゃんと同じ年位の人が、グレーのパンツスーツというきちんとした恰好なのにダダダッと走ってる。
すれ違ったかと思えばその人がオレと同じ方向に引き返す。

えっ!?と目を丸くするも、おばさんの視線の先は、のんびりとランニング?と首を傾げるような早さで恐らく走ってる女子。

肩までのストレートヘアで可愛いか美人かで言えば若干可愛い系。
姉ちゃんと同じ高校の制服だ。


「のんびり走ってないで〜早く〜」
『そんな早く走れない!』
「挨拶に間に合わなくなっちゃう〜」
『だから私先に出るって言ったのに。お母さんの化粧が長いから〜』


言い合いしながらオレとすれ違う親子。

親子で高校?しかも朝練ならともかく普通に学校に行くには、結構早い時間。
姉ちゃんのとこなんかあったっけ?姉ちゃんゆっくりしてたような?

首を傾げながらも人のことを気にする時間的余裕はそこまでない。

意識を切り替えようとした時、前方を歩いていたスーツ姿の父親に必死で着いてく3、4歳位でピンクのワンピース姿の女の子とすれ違い様に会釈し合った。

毎朝すれ違う親子だ。
仕事前に保育園に連れてくのかな?っていつも思う。
けど今日は少しして、痛っ!という声の後に、うぎゃあぁ〜と泣き声が後ろから聞こえた。

場所は動かずにランニングの足を保ったまま、心配して振り返る。
するとその子の父親が寄るよりも早く、その前にすれ違った姉ちゃんと同じ制服の女子が、ワンピースの女の子に走り寄った。

走る速さ段違い。


『大丈夫!バイキン入っちゃったら困るからちょっと拭こうね』


そう笑顔で鞄からなんか小袋を出して、女の子の膝の擦り傷をゆっくりとトントンしてる。
女の子が泣き止みかけると、父親が申し訳なさそうに会釈しながら女の子を抱っこした。


「ありがとうございます」
『いえいえ、簡単に消毒しただけです。よかったら絆創膏もどうぞ』


制服の子が絆創膏を差し出してる。
お礼を言いながら受け取った父親は女の子と一緒に、制服の子とバイバイした。

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作者名:miz | 作成日時:2023年12月31日 23時

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