247 (夢の先) ページ48
玄関で靴を履いた所で瑠璃が、あっ！と言いながら振り向いた。
「A、百にあの話しとくね！」
一瞬キョトンとして、すぐに3周年ライブの話だと気づく。
頷いて、瑠璃に任せることにした。
百瀬くんは首を傾げつつも、すぐにこっと笑う。
またイブに、とお互いに照れ笑いしつつ手を振った。
2日後ーー
いつもとは違う場所で待ち合わせした。
来たのは大きなショッピングモール施設の外の広場でやってるクリスマスマーケット。
広場っていうよりも広い公園って感じだけど。
海も見える。
厚着してきてって言っておいたけど、風が冷たい。
『寒くない？』
百瀬くんはキラキラした目を私に移して、ニパッと笑った。
「全然！こういうのめっちゃワクワクする！好き！」
ドキッとして、すぐ私まで笑顔になる。
2人で手を繋いでマーケットを見て回った。
ペットボトルの再利用品を売ってる所だとかかわいい置物だとか、気になるものを次々、時々指さしながら周る。
ビーフシチューやソーセージ、ワッフルを食べたり食べさせ合ったり。
百瀬くんの頬についたワッフルのソースを取ってあげたり。
たくさん笑い合って、ひとまず休憩。
「そういやRe:valeのライブ、オレ行くことにしたよ」
『うん。瑠璃がラビチャで教えてくれた』
「生Re:vale！とか言ってて」
『あはは、気持ちわかる！』
「Aさんも、バンって人にそういう気持ちになる？」
『ううん。それはないけど、千さんの声聞いたらなるかな。生声！って。ほら、普段はCDとかで聴く事が多いから』
「ああ！そっか！姿見てもなんないの？」
『声がツボだから』
なるほどと百瀬くんが頷く。
前にも似たようなこと話したことあったけど、改めて知りたかったってところだろうか。
うーん、と考えて口を開いた。
『百瀬くんの声もツボだよ？』
「え！？」
目を丸くした百瀬くんが、私と目が合ってからボッと赤面する。
「オ、オレの声はAさんの好きなタイプの声と違うじゃんか」
耳まで真っ赤にして慌てたように顔をそらす百瀬くん。
付き合ってからもう少しで2年になるし、もう言ってもいいかな。
初めて百瀬くんと話した時に、好みの声だと思ったことを教えると、百瀬くんは両手で顔を隠した。
「ぅわ〜、知んなかった･･･」
『そりゃ、瑠璃にも口止めしといたし、恥ずかしいっていうか』
「めっちゃドキドキいってる･･･」
顔を覆っていた両手を頬に移し、私を横目で見てくる百瀬くん。
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作者名：miz | 作成日時：2022年10月19日 13時
