【アイナナ】vale5 (ページ47)

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それからはバタバタと掃除を終えて慌ただしく引越し作業が進む。

「ご両親と妹ちゃんはいつ引っ越すの？」
『29日』
「年末年始はそっちに行くの？」
『手伝う位。初めて弟と2人で年越しなんだよね』

瑠璃と一緒に私の部屋の段ボール開けてしまってを繰り返しながら淡々と話す。
結構進んだところで百瀬くんが部屋に来た。

「あれ？弟くんの部屋終わったの？」
「うん！かなり断舎離したって言ってたし、物少なかった」
『私もこれでも少なくしたんだけどな〜』
「Aの新しいベッド、収納があるから、これ位ならキレイに片付くよ」

瑠璃がベッド下収納の引き出しに、夏服をしまってくれながら言う。

私のベッドは、今まで妹と二段ベッドを使ってたから、この前新しく親に買ってもらったのだ。
収納が多いほうがいいもんね。

それでもまだ積み上がってる段ボールがある。
思わず息を吐いた。

主に推しの声優さんのCDやDVD、Re:vale関係のが未開封だ。

「オレの部屋はもっと物が多いよ〜」
「百の部屋はすぐに散らかるよね。さっき掃除してたのに！？ってなる」
『あー、でも私もすぐに散らかっちゃう。百瀬くんと同じ』

3人でくすくす笑う。
瑠璃がニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。

「弟くんがいなかったら、2人で家デートもいいじゃん」

！！
その言葉に思わず百瀬くんを見てしまって、百瀬くんも私を向いたせいで目が合う。
瞬間的に二人同時に真っ赤になった。

いや、考えたことはあるけど！
でも学生の身でお互いに忙しいとあれば、そういう機会なんてそうそうないわけで！

「ちょっと！姉ちゃん！」
『瑠璃！』

真っ赤な顔したままの百瀬くんと私が、怒ったような口調でたしなめる。

「別に何するとか言ってないじゃん」

変わらずニヤニヤしてる瑠璃には効果はない。
瑠璃がそのまま立ち上がった。

「じゃあAの部屋も終わりが見えたし、そろそろお暇しようかな」

その言葉に、顔から熱が下がっていく。

『ん？お母さんが食事一緒にするつもりだって言ってたよ？』
「ただでさえもう1回引っ越し控えてて忙しいのに、ご馳走にならなくても大丈夫だよ。Aには色々助けてもらってばっかりだし、こっちが手伝ったのはいつものお礼だって思って」

瑠璃が明るく笑う。
百瀬くんも切り替えたらしく、ニコっと笑った。

「持ちつ持たれつ。気にしないで」

私はお礼を言ってから、2人が帰る事をお母さんに伝えた。