【アイナナ】vale5 (ページ32)

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瑠璃ごめん、言ってなかったっけ?足だよ。左足
瑠璃Aと電話した後、病院の先生の話聞いたんだけど、全治6ヶ月だって。普通に生活できるようになるし、サッカーも続けられるって。お見舞いも来てもらって大丈夫!2ヶ月位入院だからさ

家に帰ってすぐ瑠璃に、百瀬くんの容態をラビチャで聞くと、そう返信があった。

ホッとして胸をなでおろす。

Aありがとう、教えてくれて!明日行っても迷惑じゃない?
瑠璃むしろ喜ぶと思う。にしても救急車で運ばれたって聞いた時は、私も気が気じゃなかったけどね
Aだよね。私もお母さんが昔そういうのあった時も気が気じゃなかったから、ちょっとわかる!

お母さんが妹を妊娠してた時のことだけど。
妊娠高血圧症候群で、パート中に倒れて救急車に運ばれてったって、学校の授業中に聞いたっけ。
結局緊急帝王切開で妹が産まれたし、お母さんはしばらく大変だったけど、今では特に何事もないし。

百瀬くんも、サッカー続けられるなら良かった。
プロになるんだって夢語ってた時はキラキラしてたから、気になってた。

全治後、今までのような生活が送れることが1番大切だけど。

ああ、でも。
しばらくサッカー出来ないって事は、おそらくだけど少し腕が落ちたりするのかな。
勘が鈍るというか。

勉強もやらなきゃ出来なくなるし、弟も楽器をやらないと鈍るって言ってたし。
ただ必死で頑張れば追いつくし戻るよね？勘。

不意に生まれた心の小さなモヤ。
それを払拭するように頭を振って、弟に、百瀬くんの状態を教えるべく部屋のドアを開けた。

・

「はい、本日はここまで」

教授のその言葉と共に、机の上のを素早くまとめる。
隣の席に座ってた岡崎くんが、私と女友達の方を向いた。

「今日この後3人で、お昼一緒に食べませんか？」

鞄の中へズボッとしまって肩にかける。
片手で、ごめんと形作った。

『ちょっとこの後用事あるんだ。また誘って』

バイバイと手を振る。

あ、はい。と呆気にとられたような表情の岡崎が、返事をしてから女友達を向いて首をひねった。
今終わった講義より前の時間もAとずっと一緒にいた女友達は、迷った様子で目を泳がせた後、おずおずと口を開いた。

「･･･なんか･･･彼氏が入院したらしくて。命に別状ないみたいだけど、1回も会ってないから行きたいんだって」
「なるほど。だから急いでたんですね」