【アイナナ】vale5 (ページ29)

今日:11 hit、昨日:36 hit、合計:27,167 hit

228 ページ29

夕飯も一緒に食べて、チョコを渡してから送ってもらう。

『一日中一緒にいたの久しぶりだったのに、時間過ぎるのあっという間だね』
「ホント。もっと一緒にいたいね。次は家に教えに来てくれんだよね。その後がホワイトデー」
『うん。ふふ、期待してる』
「期待されました！」

ちょっとおどけたように返してくれる百瀬くんと静かに笑い合う。

家が見えてきて繋いだ手を解いた。
いつも通りにここで、またね、とキスをする。

名残惜しい気持ちを抑え、微笑み合って手を振って家に入った。

･

ホワイトデーは、大神くんと千さんから、しっかりお返しを頂いた。
普通に大神くんとホワイトデーの2日前にカフェで待ち合わせして、今回は当然のように千さんもいて、はい、と紙袋を渡された。

緊張しつつ受け取ると、大神くんが笑みを浮かべる。

「･･･今年は拝まないのか？」
『さすがに同じ失態は繰り返しません』

口を尖らせて答える。
大神くんが楽しげに笑った。

千さんも、フッと少し吹き出すような仕草をしたから、気になって視線を向けると目が合う。
千さんの表情は笑いはしてないものの、柔らかい表情だ。

「それ、消費期限だから早く食べて」
『あ、はい！』

声を近くで聞いてしまった！！
歌声ではない声！！

結局そのことで高揚感に襲われ、それがもろ顔に出てたらしく大神くんに声を上げて笑われたわけだが。

千さんから頂いたのは、フルーツ大福だった。
マスカット大福。

これこそマスカットと豆だ！と感動して、大事に食べた。

岡崎くんと女友達もそれぞれにお返しをくれて、大神くんからのお返しと合わせて、クッキーの箱が家の自分の机の上に並ぶことになった。

百瀬くんとはバレンタインのような長時間のデートは出来なかったけど、夕方から新宿のイルミネーション見たり食事したりした。

「はい、ハッピーホワイトデー！」

嬉しそうな笑顔で渡された手提げの紙袋を受け取ると、百瀬くんの表情が明らかなワクワクに変わる。

『ありがとう。開け･･･』
「うん！開けて開けて！」

待ってましたと声が聞こえてきそうな程、食い気味に反応する百瀬くん。
私までワクワクしながら袋に入ってる包みを開ける。

1つは色のついたガラスのようなキレイな四角い飴が、瓶に入ってるもの。
もう1つは、先月行ったランドで売ってた、ブレスレットだった。

「お揃いってわけにはいかなかったけど、欲しそうだったから」

百瀬くんは、少し照れたように笑った。