【アイナナ】vale5 (ページ28)

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『百瀬くんが欲しくて見てたんだとばっかり･･･』
「スニーカーは気になったから見たけど、元々はパーカー」

百瀬くんが照れたように笑う。
改めて私が持ってるパーカーをジッと見た。

『これ、私は、百瀬くんに似合いそうって思ったんだけど･･･』
「え！？そう！？袖が可愛すぎない！？」
『そう？幾何学模様のグラデーションが綺麗だよね。それにこれメンズだし･･･』

百瀬くんと顔を見合わす。
少しの沈黙の後、同時にレディースを探すために店員さんに在庫を聞く。

色違いしかないんですと申し訳無さそうに言われた。
メンズは黒の身頃に幾何学模様の袖。
色違いのレディースは、白の身頃に幾何学模様の袖。こっちのが可愛いと思うんだけど。

「白の方が女のコ！って感じすんね。Aさんにめっちゃ合いそう！並べると、黒はメンズってわかるし」

百瀬くんと2枚のパーカーを前にして、お互いにチラッと覗う。

「･･･Aさん、もしかして一緒のこと考えてたりしない？」
『どうだろ？でも多分･･･お互いに相手の買ってプレゼントしあう？』

提案すると、百瀬くんが、あちゃーと言いたげに手で顔を覆った。

「オレ言おうと思ってた！ってかやっぱ、お揃い、これがいいよね！？」
『いいの？可愛すぎるって言ってたけど』
「Aさんが選んでくれた初めての服でしょ！？嬉しくないわけないじゃん！」

百瀬くんは、満面の笑顔で言いながら2枚のパーカーを手に取る。
メンズを私に差し出した。

「お願いします！」
『あはは、私も！お願いします！』

パーカーを受け取ると、百瀬くんと一緒にレジに向かった。

服が入った袋を2つ持ってくれてる百瀬くんと、手を繋ぎながら店を出る。

『スニーカーはいいの？』
「うん！買いたくて見てたんじゃないから。それにいい値段してたっしょ？」
『うん、してたしてた。さすがにお揃いは難しいかもって思って見てた』

同意しながら頷くと、百瀬くんの表情にいつもの何倍ものキラキラが出てるように見えた。

『うん？･･･すごいいい案って思った？』

黙ってコクコク頷く百瀬くん。

「え！？めっちゃ良いじゃん！来年の記念日、それにしよう！そんで次の年はアウターとか！」
『え？最終的に全身コーデするの？』

思わずフッと笑みが漏れる。

楽しそうだからだ。

「そう！その次はまた何か考えてさ！」

百瀬くんのワクワクとした笑顔に、私も楽しみになってくる。

楽しみだね！と笑顔で返した。