笑顔のキミが好き【if･･････】

8　〜大和side〜 ページ9

『ごめんね、遅くなって。』

「ぃや？そんな待ってない。」

意外とチケット買うのに並んだし、実際そんなに待ってなかった。

「ほい、チケット。行くぞ。」

言って促そうとすると、Aは慌てた。
鞄から財布を出す。

『え！買っててくれたの！？千円だよね！』

「いいって。」

『良くない！』

「･･･じゃあ、飲み物奢ってくれねぇ？」

『値段が大分違う！割に合わない！』

引かねえな、こいつ。
女って、黙って奢られる奴が多いイメージだけど、Aは違うのか。
こういう所、好きかも。

「じゃあ今度オススメの本を貸して。それでチャラな。」

そう言うと、口を尖らせて分かったと言う。

･･････こういう表情も好きだ。
やべぇな、どんどんハマっていく。

バレンタインの誕生日は、女に学校の前に呼び出されて行った。
告白されてチョコレートを渡されそうになったけど、今年は義理だとしてもA以外からは受け取りたくなかったし、そもそも告られたんだから断るだろ。

Aが来るというので急いで帰ると、Aが部屋で待っていた。

『･･････どっか行ってたの？珍しいね、お出かけ。』

「あのな、家にいる方が珍しいの、俺は！」

『え。外で会ったのなんて映画一回行っただけじゃん。』

「お前が本ばっかりだからだろ！･･････あ。」

『･･･ごめん･･･』

いや、Aは悪くない。
俺が勝手にAが来るから家にいるだけだ。

本が好きだから、ここになら余計な理由をつけずに来てくれる。
外だと、片思いの俺はAと会う理由をつけるのは難しい。

ショボンとした顔をしているAの頭に手を置いた。

「･･･んな顔すんな。別にお前が嫌なんじゃねぇ。A、忘れてそうだから言うけど、俺３月までは高校生だからな？学校位いくわけよ。」

『･･･今日休みじゃん。』

出かけた理由を話すとつっこまれた。
深追いはしてほしくないな。
いや、ちょっと位意識してくれるか？なんて甘い考えがよぎってAを見ると、嬉しそうな顔。

『女の子に呼び出されたんだね！！だから学校の近くまで行ったと！』

ムカつく。
本当にこれっぽっちも俺の事意識しちゃいねぇ･･･

「何でそんなに嬉しそうなんだよ･･･」

『え？理由が分かったから？』

ちょっと凹むわ。

『チョコレート、貰ってないの？』

「貰ってねぇよ。」

お前以外からは、いらねぇんだよ。
･･･こいつは、誰にあげたんだろう･･･

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