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「そこにAの感情はあるのか?」
私を抱きしめたままヤマさんが聞いた。
「Aが俺を好きじゃなきゃ何も意味がない。形だけなんて嫌だ。」
ふと、これからある千とのキスシーンが頭をよぎる。
あれに感情はない。
千は私とするなら感情があるのが最初がいいとグチグチ言いながら、私が『受ける、プロだから』と言ったから断れない。
『そうだね。プライベートなら気持ちがあるのがいい。』
私はそう言った。
ヤマさんがまたビクッとした。
体を離して私を見た。
「まさか・・・・・・演技で何かやんの?」
ヤマさんの顔が真剣。
気づいたのか。
勘がいいな。
『あ・・・えと、キスシーン・・・・・・』
「!誰と。」
『・・・・・・千。・・・っいたっ』
私の腕を掴んでいたヤマさんの手に力が加わる。
「・・・・・・A。悪い。やっぱ振って。俺がこれ以上酷いことしないうちに。」
『何・・・』
「演技でも嫌だ。Aが誰かと・・・・・・しかも千さんとキスなんて。」
『感情はない。』
「・・・・・・っじゃあ!誰とでも出来るのかよ。演技なら!」
ヤマさんのイライラが伝わる。
分かってるよ。
嫌だよ。
私だってしたくないよ。
でも仕事内容で困った時、いつも思い出すのは天だ。
仕事やファンに対する献身的で真摯に向き合う姿勢。
見習いたい。
なら、私もキスシーンが理由で仕事を受けないなんて、ナンセンスだ。
『したくてするとでも思ってるの?でも仕事だからする。それがプロだよ。』
そう答えると、ヤマさんは私の腕にあった手の力を弱めた。
「悪い。したくないよな・・・でも俺は見たくない。」
『見ないでいいよ。・・・ねぇヤマさん。何が理由でも良いから、ちょっと芸能界入り考えてみて?』
「俺が、一番嫌いなの分かってて言ってんだよな。」
『うん。そんで、芸能界来たらさ、私が忙しい理由分かるよ。会いたくても会えない理由。』
私はそう言ってニコッと笑った。
私がヤスだって気付くか分からないけど、もしも私がヤマさんの事を異性として見て、ヤマさんがアイドリッシュセブンになったら、教えても良いと思った。
百も千も、反対するかもしれないけど。
ヤマさんはしばらく呆けていたけど、ポツリと呟いた。
「俺のこと、会いたくても会えないって思ってんの?」
あ、そこか!
そうか。
私、恋愛脳じゃないんだな。
着眼点がヤマさんと違う。
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ミズ ミズ(プロフ) - あいすさん» ありがとうございます!ifがもう大和ルートと化しております(笑)楽しく頑張ります! (2019年3月20日 21時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
あいす(プロフ) - 更新お疲れ様です!百ルート派なんですけど、大和さんもめっちゃいいなって思いました……。いつも楽しみにしてます!頑張って下さいー! (2019年3月20日 21時) (レス) id: 4ad8dbbe47 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - chattyさん» ありがとうございます!本編の関係上、大和視点が多くなるとは思いますが、よろしくお願いします♪ (2019年3月15日 15時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
chatty(プロフ) - 早速読ませて頂きました!百、千ルートも好きなんですが大和ルートが1番好きです!楽しみにしてます^ - ^ (2019年3月15日 15時) (レス) id: 01aa2e4b44 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - chattyさん» ありがとうございます!分かります(汗)本編の百ルートの時間軸に大体ではありますが、合わせて更新しています。まだ構想中で未完成なので、もう少し待って頂けると助かります! (2019年3月13日 12時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2019年2月26日 7時