【アイナナ】 vale 2 (ページ10)

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59　(部活) ページ10

『口に合って良かった』

お母さんに結構な分手伝ってもらったとはいえ、不器用ながらも実がなったような気がするのは純粋に嬉しい。
またお母さんに教わって一緒に作れるかな。

「そういや月曜日から体験入部始まるじゃんか。Aさんの部活聞いたことなかったけど何部？」
『私？パソコン部』
「パソコン！？演劇じゃなくて！？」

そこも聞いたのか。と苦笑しつつも頷く。

地味だけど、将来役に立ちそうだと思って入った部だ。

『意外と面白いよ？ゲーム作ってる先輩とか全国の大会で好成績出した先輩もいるし。民間の資格も取れる』
「へえ、資格！オレそういうのは考えたことないなあ」
『百瀬くんは将来どうなりたいとかあるの？』

「オレはサッカー選手！まずは全国大会に出て優勝すんのからだけど、プロになるんだ！」

満面の笑顔で、キラキラした目で海に向かって海ではない所を見ている百瀬くん。

凄い。
プロになるのが夢、じゃなくて、なるんだ！って言っちゃえるんだ。

本格的なサッカーをしている所は見たことないけど、教えてくれるのは上手だったし小さい頃からサッカー習ってるみたいだから相当好きなんだろうな。
レギュラーも結構なってるって聞いたことあるから、上手いんだろうし。

『凄いね！応援してる！』
「好きだから一生懸命なだけだよ！Aさんと同じ！」

百瀬くんが照れたように笑う。
同じ？と首を傾げると、頷かれた。

「Aさんが勉強頑張ってんのも好きだからじゃない？他にも苦手なことも一生懸命になれるAさん、めちゃくちゃ尊敬する！」

まっすぐに褒められると照れる。

『出来ることが少ないから悔しいし、負けず嫌いなだけだよ』
「大事だよね。そういうの！」

ニパッと笑った百瀬くんが、じゃあ行こうかとベンチを立つ。
私も立って、屋内遊園地に向かった。

パンフを持って、乗りたいものや興味のあるものを次々乗っていく。
何個目かのアトラクションを終えると、近くの椅子に座った。

『･･･百瀬くん』
「うん？」

『絶叫系、多くない？』

ケロッとしてる百瀬くんに比べ、そこまで三半規管が強くはない私は、心なしかぐったりしていた。

「多かった！？じゃあちょっと休憩してから、絶叫系じゃないやつ行こっか」
『ううん。休憩してからなら大丈夫。苦手じゃないし』
「本当？無理してない？」

心配そうな顔の百瀬くんに頷く。
折角の楽しい気分に水を指したくない。
既にへばってるから微妙かもだけど。