【アイナナ】 vale 2 (ページ28)

今日:11 hit、昨日:35 hit、合計:36,723 hit

77　(手紙) ページ28

「え！私も行きたい！ーーって、この日夏祭りある日じゃない？」

学校の宿題を終えた妹が話に割り込む。

『あー･･･行くの？』
「友達と行こうって話してて」

迷う〜って妹が眉間にシワ寄せてるけど･･･

『先約あるならそっち優先でしょ？弟は？』
「友達とお祭り行く」
「お姉ちゃんは夏祭り行かないの？」
『瑠璃たち、彼氏と行くと思うんだよね。今年はいいや』

彼氏いない友達は、わかんないけど。
というか千さんの声とRe:valeの曲聴けるとか、先約なきゃ何よりの優先事項じゃない！？
2ヶ月お小遣いほぼ使わないでいたからCD少しずつ買えるだろうし！

1人でだって行こう。プレゼント渡すとこで手紙預かってもらおう。

楽しみすぎて、お風呂入ってと弟に言うのは忘れていた。

・

1学期終業式の日。
資格の試験が近い私は、下校時刻ギリギリまで部活をやっていた。
たまたま帰りの時間が重なった百瀬くんと私は、同じ部活の人たちに手を振って、一緒に帰ることにした。

「え？Aさん、夏祭り今年行かないの？」

セミの鳴き声をBGMに、さっきコンビニに寄って買ったソーダ味のアイスをお互い片手に持って話してると、百瀬くんが目を見開く。
アイスをかじると下がっていく体温を感じて、一息つきながら当たり前のように頷く。

『瑠璃は彼氏と行くんだって。妹も今年は友達と行くって言ってたし。他の友達も彼氏とだったり初日から旅行だったり』

ちゃんと確かめた。
彼氏いない友達が旅行だって言った時は、ちょっとホッとしてしまった。
ライブに行くという久々のイベントがあるのだから。

でも私も用事があるからと言おうとすると、それより早く百瀬くんが口を開いた。

「じゃあ･･･！オレと行かない！？」

あまりの勢いのある言い方に驚く。
目をパチパチ言わせて言葉が出ないでいると、百瀬くんはハッとしたようにアイスを持ってない方の手を広げて横に振る。

百瀬くんの慌てっぷりが可愛い。

「や、別に！どうしてもじゃなくても！」
『あはは、慌てすぎ。弟と行くんじゃないの？』

友達と行くと聞いたし、百瀬くんだと思ってた。
百瀬くんはアイスをかじりながら首を横に振る。

「約束してないよ」
『そうなんだ？弟が友達とって言ってたから』

友達が多いなら、それはそれで良い。
だけど今はーー

『ごめんね。もうライブ行く予定なんだ』
「ライブ？」

百瀬くんがキョトンとした。