【アイナナ】 vale 2 (ページ24)

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体育祭当日。
朝のHRと各々更衣室での着替えを終えて校庭に行く。

「高校最後の体育祭だね〜」
『競技に出なきゃいけない意味では、人生で最後の体育祭だよ！』

友達が周りを見渡しながら言う言葉に、力強く返した。

大体大学で体育祭とか聞かないし！
それを思えばめちゃくちゃ頑張れる。
体育の授業も高校生が最後！

希望に満ちた目をしているであろう私をクスクス笑う瑠璃。
なによ、とジト目で見ると、瑠璃が笑顔のまま口を開いた。

「PTAが出る競技ってあるから、そのうちAが結婚して子供産めば、出なきゃいけないんじゃないの？」
『そんな遠そうな未来考えたくない！そもそも相手すらいないけど！？』
「先生も出るもんね。大人でもやらなきゃいけないんだね、体育祭」
「運動会もね」

友達2人も、うんうん頷いて冗談気味にほくそ笑んで瑠璃に乗っかる。

『もう！意地悪！』
「ごめんごめん！ひょっと！？頬ひっぱんらいれ！？」

笑ってる瑠璃の頬をみょーんと引っ張ると、他2人は逃げるようにクラスの皆が集まる所へ向かってる。
瑠璃の頬から手を離すと、裏切り者～！と笑いながら友達を追いかける瑠璃、を追いかける私。
当然いつものことながら追いつくわけないんだけど！

校庭で、予行練習の時のように入場して、校長先生の言葉とか宣誓とか校歌斉唱とか。
準備運動もやってプログラム通りに進んでいく。

「じゃあ行ってくるね～」
『頑張って～』

クラス代表に選ばれた友達に手を振って見送ったり。応援したり。

体育祭特有の係のために入場口に行く。部活毎の係だ。
1年生が出場する競技の列の整理。
この競技に出る人はここに並んでください、って声掛けするやつ。

列整理して人数確認をしてると、百瀬くんがいた。
出るんだ、と思いながら一瞬百瀬くんを見ると、ちょうどよく？視線が合う。

パッて笑顔になる百瀬くんを見て、思わずこっちもつられる。
その時、後ろで声がした。

「わ、春原くん笑ってくれた！」
「嬉しい〜！」

後ろを振り返ると、笑顔で頬を染めながら小さく手を振ってる女子2人組がいる。

あれ！？私に笑いかけてくれたと思ってた！！
勘違い！？恥ずかしい！！

顔から火が出そうになりながら、列の整理を終える。
間もなくして入場が始まった。

見送ってから自分の席に戻る。

「うん？A、顔赤いよ？大丈夫？」
『大丈夫大丈夫』

心配してくれた瑠璃に苦笑いしてから手で顔を扇いだ。