【アイナナ】 vale 2 (ページ22)

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71　(体育祭) ページ22

「この前までちょっと元気なかったんだけど、今は元気。でも毎日部活楽しそうだよ」
『元気なかった･･･？』

百瀬くんが元気がないという想像ってつきにくい。
いや、前に落ち込んでたって言ってたっけ？具合悪そうにしてた時。その時みたいな感じ？
私が友達と帰るのやめて、百瀬くんと帰った日。後日友達にはスイーツ奢ったけど。

私が心配そうな表情になっていたのか、瑠璃が片手を横に振る。

「あ、私が原因だったの！いや百も考えすぎっていうか･･･」
『珍しい。ケンカ？』
「ううん。すれ違い」

それでも珍しい。

瑠璃は苦笑するもそれ以上言うことはなく、部活行こうかとカバンを手に取る。
私も席を立ってカバンを取って、一緒に教室を出た。

『そういえば彼氏とうまくいってる？』
「うん！一緒に帰ったり一緒にお昼食べたり、デートしてるよ」
『いいなあ･･･私もたまにでいいから瑠璃と遊びたい･･･』
「私！？やだー、私モテモテじゃん！」
『夏休みに息抜きでも受験対策でもいいから』
「受験対策･･･」

ノリノリだった瑠璃が、途端に頬を引きつらす。
受験生は勉強すべきと思うんですが？

「まあAに教わるなら、たまにはいいか」
『息抜きがたまにだからね！？』
「Aせんせーが怖い〜」
『模試そろそろあるでしょ』
「うっ」

胸を押さえて痛いとこ突かれた、というリアクションをする瑠璃。
思わず笑ってしまう。

『じゃあ模試対策しよう。今度』
「体育祭終わったらだね」
『ぅわ･･･』

今度は私が頬を引きつらす番だ。
瑠璃が笑って、お互いにまた明日と手を振る。
コンピューター室に向かった。

・

体育祭はやっぱり苦手だ。
日程が近くなると体育の授業がちょっと増えるし。予行練習もあるし。

クラスで何に出るかという種目決めでは、玉入れになって一安心。去年は障害物競走をやった。
障害物競走って言っても色々で、跳び箱とか網抜けとか平均台みたいな定番物から、計算や漢字を解くというのも含まれていたから去年は私が選ばれちゃってた。
今年は私が鈍いというのを分かってる人も多くて、元から外してくれてるのは純粋に助かる。

あとやるのは組体操。3年全員。
今年はやるの少なくて良い！！

「あ！Aさん！久しぶり！！」

予行練習の日。
昇降口で満面笑顔の百瀬くんと会った。

『百瀬くん。久しぶり。1ヶ月半位？もう何ヶ月も会ってない気分だよ』

指でかかとを靴に入れながら、私も嬉しくなって笑った。