【アイナナ】 vale 2 (ページ17)

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妹が指さした方向を見ると、確かに。
きゃいきゃい嬉しそうな笑顔の子達が、各々持ってるリボンがかかった袋や箱を、男性に渡してる。
相手は店員さんらしい。

どこでそんな情報知ったんだ？と妹を見ると、隣の女の人と話してる。
初対面だよね？良い雰囲気の人だったのかな？

っていうかプレゼントというか差し入れ？みたいなの持ってくればよかったかな。
一応大神くんの知り合いではあるけど、会えないもんだと決めかかって来たから用意してない。

ちょっと失敗、と反省してると、照明が少し暗くなる。

逆に明るくなったステージに目をやると、Re:valeではないバンドの人たちが楽器を手に歌い始めた。

『うわ、音が大きい･･･』
「こんなもんじゃない？でも上手だね」

そうだね、とステージに目を移す。

確かにノリはいい。耳障りもいい。
そのバンドの人たちがはけると、次に出てきたのがRe:valeだった。

「こんばんは。Re:valeです」

大神くんの声がライブハウス内に響く。
所々で、バン〜！ユキ〜！って黄色い声が聞こえた。

･･････アイドル？？

首をひねってると、楽器から繰り出される軽快なメロディが聴こえて、ステージに再び目をやった。
すぐにドラムの音も入ってくる。

さっきのグループとは違う。
軽いのに、体の奥に響くような音楽。

私でもわかる。
いや、私には違う意味で衝撃的で。

「･･･すご･･･」

妹の思わず呟いたような言葉は、耳に届いて返事のように頷くものの、私の頭までは到達していなかった。

ーー

バンドグループが変わると、帰っていく人波に紛れそうになって、慌てて妹と端に避ける。

「最後まで観ていかないんだ。私達も帰る？･･･お姉ちゃん？」
『あ、うん』

まだ夢心地だというのは言うまでもない。

凄かった。
音楽もだけど、あの人の声が歌になったのを聴いてヤラれた。

『やば･･･』
「何が？このライブハウスに残った客数？」

1人余韻に浸っていると、妹の冷静な言葉に、やっと辺りを見渡す。
それなりに客数はいるものの、大半が男の人で、数人の女の人がステージには興味なさげな態度で残っているだけだ。

『やば･･･』

さっきまでの女の人が多かったのは、ほとんどRe:valeのファンなのか。
本当に昔からモテてたからなあ。しかも大神くんの友達、イケメンでイケボだから、そりゃあモテるはずだ。

それに音楽だっていい。
聴きに来る男の人が少ないのが不思議な位だ。